レトフ S.328

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モデルは KP MODEL製 1/72

S.328はチェコのレトフ社が設計した複葉戦術偵察機である。 一見なんの変哲もないが頑丈で信頼性の高い機体は、結局その後に設計された新型機種よりも長い間戦線にあって使われることになった。  生産が始まったのは1934年であるが、1939年ドイツ軍がチェコに侵攻してきたときもまだ生産は続けられていた。 S.328はもともとフィンランドの要求で開発が始められた複座汎用機である。 フィンランドに輸出する計画は実現しなかったが、チェコスロバキア陸軍が目をつけ、1934年、偵察機として発注したものである。 ブリストル.ペガサスⅡ.M.2をライセンス生産したウオルターエンジンを装備、構造は1930年代の標準であった鋼管の骨組みに羽布張りであった。 武装は通常2挺の7.92mm機関銃を上側の主翼に取り付け、さらに下側の主翼にも2挺を追加できるようになっていた。 後部座席にも1挺か2挺の旋回式機関銃を備えていた。 チェコがドイツにより占領された後はS.328の一部は練習機として使用され、残りは新たに編成されたスロバキア空軍でドイツのポーランド侵攻作戦で偵察や地上攻撃機として参加した。 1941年、ソ連に対する侵攻作戦が始まるとS.328はスロバキア空軍は再び動員され、主にウクライナのゲリラ制圧に使われた。 さらに戦争の後半にはソ連に対する夜間安眠妨害作戦にも使われている。  

 
性能諸元(S.328)

形式: 複座偵察爆撃機  エンジン:ウオルター.ペガサスⅡM-2 空冷9気筒 635馬力 武装:7.92mm機関銃2挺 7.92mm 旋回式機関銃1挺、 最大速度: 280km/時(高度1,800m) 巡航速度 243km/時 上昇時間: 17分0秒(5,000mまで) 上昇限度: 7,200m 航続距離: 700km 自重: 1,680kg、全備重量: 2,675kg 全幅: 13.7m 全長: 10.4m 生産台数: 470

参考文献

Elke C. Weal “Combat Aircraft of World War Two”, Arms and Armour Press, London 1977 William Green “War Plane of The Second World War Vol.7” Doubleday & Company, 1960 Enzo Angelucci & Paolo Matricardi “World War 2 Airplanes”, Rand McNally, Chicago 1978 Bernard Fitzsimons ed. “The Illustrated Encyclopedia of 20th Century-Weapons and Warfare” Vol.21 Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998