もともとはオランダ東インド部隊の要請により1935年にフォッカー社のシャツキ技師の手で開発が始まった戦闘機であるが、方針変更で東インド部隊へは一機も渡らなかった。 そのかわり当時としては流麗な機体を持ち頑丈で運動性の良好なD-XXIは注目を浴び、ヨーロッパのいくつかの国の主力戦闘機となったのである。 エンジンは当初液冷の650馬力のロールス.ロイスケストレルが予定されたが翌年3月に初飛行したときにはブリストル.マーキュリーVIS空冷エンジン(645馬力)に代わっていた。 オランダ軍からの最初の注文は1937年夏に36機があった。 これらは830馬力のブリストル.マーキュリーVIIエンジンを搭載、7.92mmブローニング機関銃4挺を備えていた。 引渡しは1938年から始まり、ちょうど最後の機が引き渡されたときドイツ軍によるポーランド侵攻がはじまったのである。 翌年オランダが侵略されたときは29機が前線にあり圧倒的なドイツ軍を相手によく戦ったが3日目には弾薬尽きて戦闘を停止せざるをえなくなった。
1937年、フィンランド政府は7機のD-XXIを購入、さらにライセンス生産契約を結び、1944年までに合計93機が生産された。 このうち38機はオリジナルのマーキュリーエンジンを搭載、1939年11月に始まったソ連の侵攻に対して大活躍をした。 マーキュリーエンジンの供給が窮屈になってきたため、残りはアメリカのプラットアンドホイットニーエンジンを搭載するようフィンランドで設計を変更した。 デンマークも1937年、2機を購入し10機をライセンス生産した。 また市民戦争下にあったスペイン共和国軍側でも本機のライセンス生産を計画したが、最初の機体が工場を出る直前にフランコ軍に占領されてしまった。
形式: 単座戦闘機 エンジン:ブリストル.マーキュリーVIII空冷830馬力 最大速度:460km/時(高度 5,100m) 巡航速度 385km/時 航続距離:850km 上昇時間:12分36秒(8,000mまで) 上昇限度:10,100m 自重:1,450kg 全備重量:2,050kg 全幅:11.0m 全長:8.2m 武装:7.9mm ブローニングM-36機関銃4挺 生産台数:145
Elke C. Weal “Combat Aircraft of World War Two”, Arms and Armour Press, London 1977 William Green “War Plane of The Second World War Vol.1” Doubleday & Company, 1960 Enzo Angelucci & Paolo Matricardi “World War 2 Airplanes”, Rand McNally, Chicago 1978 Bill Gunston “Fighting Aircraft of World War 2”, Prentice Hall Press 1988 Bernard Fitzsimons ed. “The Illustrated Encyclopedia of 20th Century-Weapons and Warfare Vol.7” Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998 Enzo Angelucci & Paolo Matricardi “Combat Aircraft of World War 2 1933-1937”