フォッカーD.XXIIIは胴体中央部の操縦席の前後にエンジンを配置、前後それぞれのプロペラを駆動するというきわめて特異な構造であった。 この方式の特長は空気抵抗を少なくでき、またひとつのエンジンが故障しても空力的なバランスを失うことなく飛行できるということであった。 しかもパイロットのすぐ前後にエンジンがあるため防弾板が不要であった。 またフォッカーD.XXIIIは前輪式の着陸装置を持った最初の戦闘機である。
試作機は1938年のパリ航空博覧会で展示され注目をあつめたが、初飛行は翌年6月のことであった。 D.XXIIIのエンジンは2基の540馬力ウオルター.シギタ I-SR 12気筒空冷であったが、後ろ側のエンジンの冷却の問題がなかなか解決できなかった。 また操縦席のすぐ後ろにプロペラがあるため非常時にどうやって脱出するかが難問であった。 武装は胴体の7.9mm機関銃2挺と主翼の2挺の13.2mm機関銃であった。 初飛行する前から種々のエンジンを搭載することが検討され、ユンカ―ス ユモ210G、イスパノ.スイザ Xcrs、ロールスロイス.ケストレルなどが候補にあがり、第二次大戦勃発直前の時点ではロールスロイスエンジンの採用が有力であった。 戦争開始早々に唯一の試作機はドイツ軍の銃撃により破壊されてしまった。
形式: 単座戦闘機 エンジン:ウオルター.シギタ I-SR 12気筒空冷540馬力 最大速度:522km 巡航速度 387km/時 航続距離:896km 上昇時間:1分21秒(1,000mまで) 上昇限度:9,000m 自重:2,297kg 全備重量:2,997kg 全幅:11.51m 全長:10.70m 武装:13.2mm 機関銃2挺、7.9mm 機関銃2挺、 生産台数: 1
William Green “War Plane of The Second World War Vol.3” Doubleday & Company, 1960 Enzo Angelucci & Paolo Matricardi “World War 2 Airplanes”, Rand McNally, Chicago 1978 Air International April 1980 Postma, Thjis “Fokker Aircraft Builders to the World” London, Jane’ Publishing Co., 1980