グラマン G-23

画像をクリックして拡大

モデルは RAREPLANE製
バキュームフォームキット

 1941年、カナダ空軍は奇妙な立場に置かれていることに気がついた。 沿岸哨戒に使っている航空機がもともとそのような用途に設計されてはいなかったのである。 カナダ空軍は発注した航空機のもともとの用途がなんであるのか、なぜ航空機が戦闘機用のカムフラージュ塗装をされているのか製造者に問い合わせたというのであるからカナダらしい呑気な話である。 1934年、カナデイアン.カーアンドファウンドリー社(C.C.F)は航空機製造の分野に参入することを決め、生まれて間もないアメリカのグラマン社が1931年に開発した複葉複座の艦上戦闘機FF-1の製造権を取得し、1935年から1937年の間に57機を製造した。 15機はカナダ空軍に納入され、日本とニカラグアに1機ずつが送られた。 40機がトルコ政府からの発注を受けたが、これらは実はトルコを経由して市民戦争を戦っているスペインの共和国軍渡った。 国際条約で交戦国に武器を輸出することは禁止されていたからである。 G-23の製造会社が本当の行く先を知っていたかどうかは明らかではない。 ただ輸送がルアーブルとバルセロナを経由してイスタンブールに行くことになっていたのであるから不審をいだいたことであろう。 スペインに送られた40機は1939年に内乱が終了したとき8機しか残っていなかった。   一方カナダ空軍からはG-23の採用を拒否されていたが、C.C.F社は1938年からイギリスのハリケーンを製造することになっていたが、それまでの間工場の操業を維持するためにG-23を作り続けた。 メキシコやニカラグアへの売込みを図ったが成功せず、結局カナダ空軍が製造コストに見合うだけの価格で引き取ることになり、15機が納入されたのである。 しかしG-23は戦闘機、攻撃機としてはまったく旧式化しており、沿岸哨戒に使うことになって冒頭の状況になったのである。

 
性能諸元(G-23)

形式: 複座偵察機  エンジン:ライトR-1820-F52 空冷9気筒 800馬力 武装:7.7mm固定式機関銃2挺、7.7mm 旋回式機関銃2挺、 最大速度: 345km/時(高度2,100) 巡航速度 315km/時 上昇率494m/分  上昇限度: 7,250m 航続距離: 1,000km 自重: 1,488kg、全備重量: 2,258kg 全幅: 10.52m 全長: 7.47m 生産台数: 120(含むグラマンFF-2)

参考文献

Elke C. Weal “Combat Aircraft of World War Two”, Arms and Armour Press, London 1977 William Green “War Plane of The Second World War Vol.7” Doubleday & Company, 1960 Bernard Fitzsimons ed. “The Illustrated Encyclopedia of 20th Century-Weapons and Warfare” Vol.9