フランス製品の特長は美的感覚に優れていることであるとの評判を確立していたが軍用機に関しては全然べつであると評価されていた。 理屈だけで設計されている感のあるアミオ143やブロッシュ210のような不格好な機体が多かったのである。 第二次世界大戦が始まるちょうど10年ほど前になってから、フランス航空機業界はかずかずのエレガントな形態と優秀な性能を持つ航空機の設計を始めていた。 ブロッシュ174はこのひとつである。
フランスの国策会社SNCASOはドイツのユンカースJu88爆撃機に啓発され1938年2月に初飛行したブロッシュ170が本機の原型である。 双発全金属製の軽爆撃機で搭乗員は機首部分にまとめられいかにもフランスらしい優雅な形態を持っていた。 ブロッシュ174の初飛行は1939年1月、6機の試作の後50機の量産が続いた。 エンジンは1,030馬力のノーム.ローヌ14N20/21空冷2基である。 爆弾槽は小さく8個の50kg爆弾が積めるだけであった。 武装としては7挺の7,7mm機関銃が機首に1挺、主翼に4挺、後部座席に2挺が搭載されていた。
前線への配備は1940年3月から始まった。 ブロッシュ174は運動性が素晴らしく、ドイツのメッサーシュミット戦闘機に撃墜されたものはほとんどなかったといわれ、フランス最高の軍用機のひとつであった。 しかし登場したのが遅すぎ、かつ圧倒的なドイツ空軍の攻勢に立ち向かうには数が少なすぎた。 フランスの降伏後ブロッシュ174は北アフリカ戦線で使われていたが1943年にはすべてアメリカ機に置き換えられた。
形式: 3座偵察爆撃機 エンジン:ノーム.ローヌ14N48/49空冷14気筒1,140馬力 武装:7.7mm固定し機関銃5挺 旋回式機関銃2挺 爆弾 400kg 最大速度:530km/時(高度5,300m) 巡航速度:400km/時 上昇時間:11分0秒(8,000mまで) 上昇限度:11,000m 航続距離:1,650km 自重:5,600kg 全備重量:7,160kg 全幅:17.92m 全長:12.23m 生産台数: 59
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