1936年、設計技術者M.デランヌは翼を前後にならべたタンデム型の複葉機を提案した。 このタイプは重心位置の範囲が広く非常な低速度が実現できるという触れ込みであった。 これを実証するためにフランス航空研究所は180馬力のレニエ―R6エンジンを搭載した複座機を設計した。 デランヌ20という型式名を与えられた一号機は1938年8月、最初のテスト飛行で破壊されてしまった。 しかし2号機は1939年3月に初飛行に成功し、タンデム型機の可能性を証明した。 この結果、フランス航空省はアーセナル(フランス航空技術廠)に本格的なタンデム型機の開発を命じた。 アーセナル―デランヌ10と名づけられた本機は前部翼の前縁スロットのほかはデランヌ20とほぼ同じ構造方式を採用していた。 風変わりな機構は着陸時に主脚が出てしまった後で再び主脚カバーが閉じて空気の流れをスムーズにし低速飛行の安定性を保つようになっている点であった。 操縦席は燃料タンクの後ろに設けられ、後部座席の射手は優れた視界を持っていた。 1940年、デランヌ10の第一号機が完成したときフランスは降伏したが、ドイツはそのまま本機の開発を続けるよう指示した。 滑走テストなどで判明した問題点を解決するのにてまどったが、1941年10月にようやく初飛行した。 何回かのテストで6時間の飛行を記録したあと機体はドイツに輸送された。 その後どうなったのかは不明である。
形式: 複座万能戦闘機 エンジン: イスパノ.スイザ 12Ycrs 液冷12気筒860馬力 最大速度: 547km/時(高度 4,500m) 航続時間(95%出力):1.5時間 上昇時間:6分30秒(5,000mまで) 上昇限度:10,000m 全幅:10.11m 全長: 7.33m 武装:イスパノ.スイザ20mm モーターカノン1門、7.5mm 旋回式機関銃1挺 、 生産台数: 1
William Green “War Plane of The Second World War Vol.1” Doubleday & Company, 1960 John W. R. Taylor “Combat Aircraft of the World”