ポテ 63-11

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モデルは HELLER製 1/72

1934年10月フランス空軍は3種の異なった用途に使える航空機の仕様を発表した。 ひとつはC3型と称する3座機で空戦指揮官が乗り込み空戦全体の指揮をとるものであった。 つぎのC2型は複座の迎撃戦闘機、最後のCN2型は複座夜間戦闘機である。 当時この3つの目標を達せそうな機体はPotez63.01だけで、これは1936年4月に初飛行した。 本機のエンジンはイスパノ.スイザ14空冷580馬力2基で流線型の見るからにスマートなスタイルをしており、世界最高水準の航空機であることをうかがわせた。 試作第二号機は空冷のノーム.ローヌ14Marsエンジンを搭載Potez631と命名され1937年3月に初飛行した。  Potez社は当時の国有化政策にしたがってSNCAN社の一部になったが、80機のPotez 630C3と10機のPotez631練習機の受注をした。 第二次世界大戦が勃発したときにはこのシリーズは290機が就役、このうち237機が第一線に配備されており、1940年ドイツ軍が侵入してきたときは果敢に戦った。 Potez631は複座機としては優秀な運動性をもちほとんどの単座戦闘機と互角に戦うことができた。 機体設計はドイツのメッサーシュミットMe110より優れていたが難点はエンジン馬力の少ないことと武装が貧弱(7.7mm固定機関銃2挺と旋回式機関銃1挺)なことだった。 Potez 63-11の試作機は1938年12月31日に初飛行した。 機首部に大幅な設計変更が行われたもので、1940年5月ドイツ軍の侵攻が始まったときには40の偵察部隊に配備されていた。 多大の損害をこうむったがこれは機体の性能や搭乗員の技量のせいではなく圧倒的な数量の差と護衛戦闘機の不足によるものである。 本来の偵察任務に加えて地上攻撃機にも使われたがこのためには胴体下と主翼下に合計4挺の7.7mm機関銃が追加された。 さらに200kgまでの爆弾を装備したものもあった。 フランス降伏後はヴィシー政府のもとで使われ、また自由フランス軍としてアフリカや地中海方面で使われたものもある。  

 
性能諸元(Potez 63-11)

形式: 双発戦術偵察機  エンジン:ノーム.ローヌ 14m 4/5 空冷700馬力2基   最大速度: 370km/時(海面), 425km/時(高度 5,000m)   航続距離:2,500km   上昇力:4分(高度2,000mまで)   自重:3,135kg   全備重量:4,536kg   全幅:16.00m   全長:11.00m   武装:7.7mm固定式機関銃2挺、旋回式機関銃1挺   生産台数:1,360(各型合計)

参考文献

Elke C. Weal “Combat Aircraft of World War Two”, Arms and Armour Press, London 1977
William Green “War Plane of The Second World War Vol.1” Doubleday & Company, 1960
Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998
“ Wings “ June 1996
Bernard Fitzsimons ed. “The Illustrated Encyclopedia of 20th Century-Weapons and Warfare” Vol.20
William Green “War Plane of The Second World War Vol.1” Doubleday & Company, 1960
MACH 1 (l’encycropedie de l’aviation) Vol.10 Editions Atlas