スパッド510は1930年フランス空軍から出された新型戦闘機の仕様に応えて設計された。 フランス空軍の最後の複葉戦闘機である。 競争した4社のなかではスパッドだけが複葉であった。 構造は全金属の胴体、金属製の骨組みに羽布張りの翼であった。 初飛行は1933年6月、テスト結果で縦方向の安定性が悪いことが判明したので胴体、補助翼などの改良が施されたが、まだ本機の将来に懐疑的な者が多かった。 量産に入るかどうかを決定するためにドヴォアチンD.500との比較テストが行われた結果、D.500の方が全体的には優れているという判断が下されたが、パイロットのルイ.マソットはS.510の優れた運動性と上昇力を強調したため、1935年ようやく60機の発注を見た。 武装は下側の主翼につけられた4挺の7.5mmMAC-1934機関銃である。 1937年4月に第一線への就役が開始されたが、搭載のイスパノ.スイザエンジンが急上昇中にガソリンの供給が途切れるという問題があり,さらに機関銃を発射すると機体がはげしく揺れ、照準をつけるのに支障をきたすことなどからわずか2ヶ月で第一線からはずされてしまった。 少数機がスペインの共和国軍側に送られたと伝えられている。 第二次大戦勃発時にはすべてのS.510は訓練用などの後方勤務に退いていた。
形式: 戦闘機 エンジン:イスパノ.スイザ 12Xbrs液冷 690馬力 武装:7.5mm 機関銃4挺 最大速度: 370km/時(高度5,000m) 上昇時間:3分22秒(3,000mまで) 航続距離:875km 自重:1,250kg 全備重量:1,830kg 全幅:8.84m 全長:7.46m 生産台数: 61
Elke C. Weal “Combat Aircraft of World War Two”, Arms and Armour Press, London 1977 Bernard Fitzsimons ed. “The Illustrated Encyclopedia of 20th Century-Weapons and Warfare Vol.22” Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998 Michael Sharpe “Biplanes,Triplanes and Seaplanes” Prospero Books, 2000 “Wings”, Vol.26 No.3