1930年代ラテコアール社は大型の大西洋横断の商業輸送機飛行機の開発を計画していた。 当初は1,000馬力のイスパノスイザs8Sbrエンジン4発を搭載する計画であったが、早い段階でこのエンジンの開発は間に合わないことが分かったため、設計は860馬力の現用エンジンを6基積むように変更せざるを得なくなった。 4基は通常のように主翼前縁に、2機は主翼後縁にプッシャータイプとしてとりつけられ、3翔のプロペラを駆動した。 構造は全金属製である。 1935年に初飛行し、8人の乗務員と30人の旅客を乗せ大西洋横断飛行に使われる予定であった。 しかし一年後試験飛行の最中に台風に遭遇し、機体は水没してしまった。 水中から引き上げられた機体は再生され翌年テストが再開された。 試作機は南十字と名づけられ、1934年1月フランスのベールからセネガルのセント.ルイスまでの3,770kmを飛び長距離国際記録を樹立して評判を呼んだ。 エアフランスが3機を発注したほか、長距離哨戒用として興味を持ったフランス海軍からも3機を受注した。 フランス海軍への就役開始は1936年4月、ベールの海軍基地である。 当初は主翼に引っ込み式の銃座を2基備えていたが、銃座を出したとき空気流が乱れ、飛行が不安定になることが分かったので、この銃座は撤去されることになった。 第二次大戦勃発後、本機は西アフリカから英仏海峡までを幅広く哨戒任務に就いていたが、ドイツ軍が侵攻して来るに伴い、つぎつぎと廃棄された。
形式: 長距離哨戒飛行艇 エンジン:イスパノ.スイザ 12Y27液冷12気筒 900馬力 6基 武装:7.7mm 旋回式機関銃6挺 最大速度:260km/時(高度1,000m) 巡航速度:180km/時 上昇時間:12分30秒(2,000mまで) 上昇限度:5,000m 最大飛行時間 33時間km 自重:20,840kg 全備重量:42,000kg 全幅:49.0m 全長:31.62m 生産台数:7
Elke C. Weal “Combat Aircraft of World War Two”, Arms and Armour Press, London 1977
William Green “War Plane of The Second World War Vol.5” Doubleday & Company, 1960
Charles Christienne & Pierre Lissarrague “A History of French Military Aviation”
MACH 1 (l'encycropedie de l'aviation) Vol.6 Editions Atlas
Jean Cuny “Latecoere- Les avions et hydravions” Collection DOCAVIA Vol.34