フェアリー アルバコア 

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モデルは PEGASUS製 1/72

フェアリー アルバコアは旧式化しつつある現用のソードフィッシュ艦上雷撃機の後継として1936年に開発が始まった。 フェアリー社は当初単葉、複葉の両方の設計案を提出したが、イギリス海軍はその時点では艦上機については単葉機に不安をもっていたので複葉で設計が進められた。 油圧方式で動作するフラップは急降下爆撃時のエアブレーキになるように考えられた。 エンジンは当初14気筒ブリストル.トーラスII(1.065馬力)が予定されたが、後に1,130馬力のトーラスXIIに変更された。 武装は主翼の機関銃と後部座席の旋回機関銃に魚雷1個または250kg爆弾4個である。  アルバコアは"紳士のソードフィッシュ"と揶揄的に呼ばれたように戦闘能力の向上より搭乗員の快適性を重視するような特長を持っていた。 暖房付きの密閉構造のコクピット、視野の改善のための前面ワイパー、改良されたトイレットシステム、不時着した場合の脱出システム、可変ピッチプロペラなどである。 しかしこれらのメリットはそれによる重量増加による性能低下を招き、粗野なソードフィッシュを駆逐するほどではなかったのである。 本機は強力なトーラスエンジンを搭載していたにもかかわらずソードフィッシュより大型で重かったためわずかな性能向上しか得られなかったし航続距離はむしろ短かった。 3名の乗員も密閉型の風防を好まなかったし、ストレススキンのモノコック構造の胴体もただ修理に面倒になると評価されてしまう始末で、結局従来のソードフィッシュのほうが長く生き残ることになってしまった。  初飛行は1938年12月であったが飛行テストの結果はかんばしいものではなかった。 各コントロールのバランスがとれておらず、とくに尾部の方向舵が著しく重いと判定された。  アルバコアが最初に実戦配備されたのは1940年3月の第826スコードロンである。 その3週間後にドイツ軍のフランス.ベルギーなどに対する侵攻作戦が始まり、アルバコアはさらに3つのスコードロンに配備され海上哨戒部隊でもっぱら対潜水艦作戦に使用された。空母搭載機として活動したのは1940年11月で空母フォーミダブルからで、翌年3月にはケープ.マタパン作戦でイタリア戦艦ビットリオ.べネトを魚雷攻撃で大破させている。 1941年7月には空母ヒューリアスとビクトリアスから発進した部隊がドイツの港湾施設爆撃に参加している。  1942年、新型のバラキューダが就役し始めるとアルバコアはエジプト、アフリカ方面あるいはイギリス本土で陸上基地から活動するようになり、ロシアに対する輸送船団の護衛や対潜水艦警戒などの任務についた。 9機のアルバコアが敵地上空でボンベイ爆撃機から空中給油を受けトブルク爆撃を敢行したこともある。  アルバコアは1944年ノルマンデイー上陸作戦のころまで使われ、約800機が生産されたところで1943年に終了した。

 
性能諸元(Albacore)

形式: 艦上攻撃機   エンジン:ブリストル.トーラスXII 空冷1,130馬力   武装:7.7mm機関銃1挺  7.7mm旋回式機関銃1挺   最大速度:257km/時(高度1,370m)   巡航速度 186km/時(高度1,830m)   上昇時間:8分0秒(1,830mまで)    上昇限度:6,310m   航続距離:1,497km   自重:3,292kg   全備重量:4,794kg   全幅:15.25m   全長:12.14m   生産台数:2,393

参考文献

Elke C. Weal “Combat Aircraft of World War Two”, Arms and Armour Press, London 1977
Enzo Angelucci & Paolo Matricardi “World War 2 Airplanes”, Rand McNally, Chicago 1978
Bernard Fitzsimons ed. “The Illustrated Encyclopedia of 20th Century-Weapons and Warfare Vol.1”
Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998
Michael Sharpe “Biplanes,Triplanes and Seaplanes” Prospero Books, 2000
Owen Thetford “British Naval Aircraft since 1912” Putnam Aeronautical Books 1958
H. A. Taylor “Fairey Aircraft since 1915” Putnam Aeronautical Books 1988