ブリストル ブレンハイム MkIV 

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モデルは AIRFIX製 1/72

1930年代、他の国では全金属性のボデイ、引き込み脚、可変ピッチプロペラなどを備えた近代的な爆撃機を作り出そうとしているときイギリス空軍は依然として羽布張りの複葉機に固執していた。 このような時期に新聞社社長のロザメアー卿はブリストル社に近代的航空機を作ることを要求したのである。 しかしブリストル社は最大のお得意さんであるイギリス空軍のご機嫌を損ねることを恐れて当初は消極的であった。 ところが空軍は機嫌を損ねるどころかこの試作品ブリストル142型を借用したいといってきたのである。 飛行テストでは当時のイギリス空軍の最新の戦闘機よりも速い最高時速494kmを出し、数週間ののちイギリス空軍は本機を軍用に使いたいと申し出があった。 その結果がこのブレンハイム爆撃機である。 エンジンは2基のブリストル.マーキュリーVIII空冷840馬力であった。 機体は非常にコンパクトで胴体内に454kgの爆弾を搭載する爆弾槽を持ち、防御火器としては胴体後部銃座の1挺の7.7mm機関銃だけで主にスピードだけで逃げ切る発想であった。 操縦はしやすく運動性も軽快であったが搭乗員の訓練、飛行場の質が本機のような近代的飛行機に適してなかったため1937年の最初の就役から1939年の大戦勃発の間に着陸失敗の事故だけでも100機以上が失われてしまった。 1939年9月までに1134機のブレンハイムMk.Iが製造され、うち200機が爆弾槽のかわりに4挺の7.7mm機関銃を備えた戦闘機型が製造された。  1939年から機首を延長し航法士の視界をよくするために左右非対称になった特徴ある形態となったマーク4型がブレンハイムMk IVとして登場した。 このときにエンジンは920馬力のマーキュリーXVエンジンとなり燃料タンクも増量された。 この機首延長型は海上哨戒用としてカナダで677機がつくられて使われた。 第二次世界大戦勃発時イギリス空軍は1000機のブレンハイムを保有しており他のどの機種よりも数が多いものであった。 ときおりドイツ艦船に対しての攻撃に使われドイツ戦闘機に捕まることはなかったが戦果も上がらなかった。 1940年12月から主に夜間侵攻作戦に使われたが、ドイツのメッサーシュミット戦闘機に捕まる可能性の高い危険な昼間作戦に従事することもあった。 1941年には旧式化していたがブレンハイムはアフリカ戦線、アジア方面で1943年まで使われた。    

 
性能諸元(Brenheim I))

形式: 双発爆撃機   エンジン:ブリストル.マーキュリーVIII 空冷840馬力   最大速度:386km/時(海面) 459km/時(高度 4,572m)   航続距離:1,810km   上昇時間:11分30秒(高度4,572mまで)   上昇限度:8,315m   自重:3,674kg   全備重量:5,670kg   全幅:17.17m   全長:12.11m   武装:7.7mm 旋回式機関銃1挺、爆弾454kg   生産台数:6,260(各型合計)

参考文献

Elke C. Weal “Combat Aircraft of World War Two”, Arms and Armour Press, London 1977
Bernard Fitzsimons ed. “The Illustrated Encyclopedia of 20th Century-Weapons and Warfare Vol.4”
Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998
Peter Lewis “The British Bomber since 1914” Putnam 1967
Owen Thetford “Aircraft of the Royal Air Force 1919-1958”