第二次大戦の最初の2年間、地中海に、大西洋にとイギリス海軍行くところいたるところにこの鈍足で羽布張りの不恰好な複葉機があった。 イタリア.タラント港における夜襲、ケープ.マタパンの戦いさらにはビスマルク撃沈にとソードフィッシュは歴史上もっとも成功した雷撃機のひとつである。 初飛行は1934年4月17日。 金属製の骨組みに羽布張りの構造で主翼は後方に折りたためるようになっており、また車輪は水上機のフロートに取り替えることができた。 エンジンは当初はブリストル.ペガサス空冷(690馬力)であったが、のちにもっと強力なものに換えられた。 プロペラは3翔の金属製固定ピッチである。 乗員は偵察任務のときは3名、雷撃のときは2名であった。 武装は7.7mm固定式機関銃1挺と後部座席の旋回式機関銃1挺に800kg魚雷またはロケット弾8発を積むことができた。 最初の量産型が現れたのは1936年、第二次大戦が勃発したときはイギリス海軍の5隻の航空母艦に12機ずつのソードフィッシュが搭載されていた。 最初の実戦参加は1940年4月のノルウェー作戦である。 このときソードフィッシュは始めてのドイツのU-ボート撃沈を果たしている。 そして1940年11月、ソードフィッシュの活躍は頂点に達した。 航空母艦イラストリアスから発進した24機のソードフィッシュはイタリアのタラント港に停泊している戦艦6隻を夜間に攻撃、大損害を与えたのである。 しかし1942年2月、栄光に満ちたソードフィッシュ部隊に悲劇が訪れた。 イギリス海峡を航行中のドイツ艦隊を発見、6機のソードフィッシュで攻撃をかけたが、対空砲火と上空を警戒中のドイツ戦闘機により全機が撃墜されてしまったのである。 敵艦隊に対する正面からの攻撃作戦はこれをもって最後となり以後輸送船団護衛が主な任務となった。 そこでまたソードフィッシュは愛用され、新型機が登場してきたあとも使われ続け1945年の終戦時にもまだ5つの部隊はソードフィッシュで装備されていた。 ソードフィッシュの驚くべき長寿命の秘密はそのすばらしい操縦性能にあった。 航空母艦から時速わずか100kmでも軽々と空中に舞い上がることができ、高空から急降下しても海面上60mで引き起こすことができた。 海上に不時着するのも容易にでき、また後方から敵戦闘機に襲われたときでも、その低速と運動性を生かして攻撃をかわすことができたのである。 1941年から実用になった対水上艦艇用レーダーがソードフィッシュの新しい武器となった。 その年の12月、飛行機で始めてU-ボートを夜間に撃沈したのである。 さらにほとんど同時期に開発されたロケット弾がこれに加わり、ソードフィッシュによるU-ボート狩り大きな威力を発揮した。
形式: 艦上攻撃機 エンジン:ブリストル.ペガサス IIIM3 空冷690馬力 武装:7.7mm機関銃1挺 7.7mm旋回式機関銃1挺 最大速度:224km/時(高度1,448m) 巡航速度 208km/時 上昇時間:10分0秒(1,524mまで) 上昇限度:3,261m 航続距離:1,657km 自重:1,903kg 全備重量:3,502kg 全幅:13.87m 全長:10.87m 生産台数:2,393
Elke C. Weal “Combat Aircraft of World War Two”, Arms and Armour Press, London 1977
Enzo Angelucci & Paolo Matricardi “World War 2 Airplanes”, Rand McNally, Chicago 1978
Bernard Fitzsimons ed. “The Illustrated Encyclopedia of 20th Century-Weapons and Warfare Vol.22”
Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998
Enzo Angelucci & Paolo Matricardi “Combat Aircraft of World War 2 1933-1937”
Michael Sharpe “Biplanes,Triplanes and Seaplanes” Prospero Books, 2000
Owen Thetford “British Naval Aircraft since 1912” Putnam Aeronautical Books 1958
H. A. Taylor “Fairey Aircraft since 1915” Putnam Aeronautical Books 1988