ボールトンポール デファイアント 

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モデルは Airfix製 1/72

1930年代、技術の進歩にともない複座戦闘機と単座戦闘機の性能差は開くばかりであった。 このようなとき以前に複座戦闘機デーモンで成功していたボールトンポール社は新しい発想の戦闘機の開発を計画した。 武装を通常の機体前方に集中した戦闘機とは異なり胴体後方に搭載した強力な動力銃座に特化した新しい発想の戦闘機であった。 動力銃座の操作はジョイステイック型のレバーで行われた。 この発想に基づいて発布されたRAF(イギリス空軍)が1935年に出した仕様がF9/35である。 この仕様に対してホーカー社が提案したのはホットスパーであったがこちらは採用とはならなかった。  デファイアント試作第一号機の飛行は1937年8月に行われたがこのときはまだ動力銃座はつけられていなかった。 本格的生産は1939年から始まり最初の第一線配備は1940年3月である。   エンジンはロールスロイス マーリン1エンジン(1,030馬力)である。 実戦参加は1940年5月ダンケルク防衛のために使用された。 その月の終わりまでに65機の敵機を撃墜したと報告され(実際は13機であったことが判明したが)デファイアントの設計方針が正しかったことが証明されたようであった。 他の双発戦闘機のモスキートやボーファイターにまでこの種の銃座をとりつけることまで検討されたくらいである。 しかし現実はドイツ戦闘機パイロットがデファイアントをハリケーン戦闘機と誤認し、反撃されるはずがない後上方からゆうゆうと攻撃したところを待ち受けていた4挺の機関銃の猛射をまともにあびて相次いで撃墜されたためであった。 これに気が付いたドイツ機は正面からの攻撃に切り替えたためにデファイアント部隊は甚大な損害をこうむった。 デファイアントは優れた飛行特性を持っていたが、戦闘機としてはスピードが遅く運動性も悪かった。 ハリケーン戦闘機にくらべ機体はわずかに大きいだけであったが重量はかなり重かった。 4挺のブローニング機関銃を備える動力銃座が重すぎたのである。 結局敵の単発戦闘機と渡り合うのは無理であるとの結論が出され、1940年8月以降、夜間戦闘に限定せざるをえなくなった。  1941年、700機以上のデファイアントは空対空レーダーを装備され、エンジンも馬力が大きくなったマーリンXX(1,280馬力)に換装されて13の夜間戦闘機部隊に配備された。 デファイアントの最大の活躍はノルマンデー上陸の前にレーダーを混乱させるチャフをあるパターンでふりまき、ドイツのレーダースクリーンにあたかもフランスのパ.ド.カレーに連合軍の上陸用舟艇が接近しているかのような印象を与える妨害工作を成功させたことであろう。   

 
性能諸元(DefiantNF Mk.I)

形式: 夜間戦闘機   エンジン:ロールスロイス.マーリンIII 液冷1,030馬力   武装:7.7mm 旋回式機関銃4挺   最大速度:402km/時(海面)  489km/時(高度 5,182m)  巡航速度:416km/時   上昇率:579m/分   上昇限度:9,250m   航続距離:748km   自重:2,757kg   全備重量:3,900kg   全幅:11.99m   全長:10.77m   生産台数:1,075(各型合計)

参考文献

Elke C. Weal “Combat Aircraft of World War Two”, Arms and Armour Press, London 1977
William Green “War Plane of The Second World War Vol.2” Doubleday & Company, 1960
Enzo Angelucci & Paolo Matricardi “World War 2 Airplanes”, Rand McNally, Chicago 1978
Bill Gunston “Fighting Aircraft of World War 2”, Prentice Hall Press 1988
Bernard Fitzsimons ed. “The Illustrated Encyclopedia of 20th Century-Weapons and Warfare Vol.13”
Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998
“Jane’s Fighting Aircraft of World War 2”, Bracken Books, London 1989
MACH 1 (l’encycropedie de l’aviation) Vol.7 Editions Atlas
Peter Lewis “The British Fighter since 1912” Putnam 1965
Owen Thetford “British Naval Aircraft since 1912” Putnam Aeronautical Books 1958
Owen Thetford “Aircraft of the Royal Air Force 1919-1958”