スパイトフルはスピットファイアの後継として開発されたもので見かけは似ているが中身はほとんど新設計である。 もっとも大きな違いはスピットファイアの特徴的な楕円形の主翼が直線カットになり、層流翼を採用したことにある。 また降着装置も広間隔のものになった。 3種類の試作機が計画された。 ひとつはスパイトフルMk.14(グリフォン65エンジン、5翔プロペラ装備)、次にMk.15(グリフォン89エンジン、逆方向回転2重プロペラ)、3番目はMk.16(3ステージグリフォンエンジン、5翔プロペラ)である。
これにさきだち1941年空軍省の要請に基づきスーパーマリン社の設計チームはグリフォンエンジン搭載のスピットファイア戦闘機に層流翼を採用する可能性について検討を始めていた。 1943年9月すでに発注されていた373機のスピットファイア21型を層流翼採用のものに変更された。 スパイトフルは胴体と尾翼部分はスピットファイア8型のものを使用しグリフォン61エンジン(2,035馬力)を搭載、1944年6月に初飛行した。 試作2号機からは胴体も新設計になり、空気取り入れ口もエンジンのすぐ下になったことと大容量の燃料タンクをパイロットのすぐ後ろに搭載したことから重心位置に変更がありスピットファイアとは外見上もかなり変わったものとなった。
スパイフルはテスト飛行ですばらしい性能をみせたものの1945年8月戦争の終了とともに生産計画はキャンセルされ試作機も含めトータルで17機が作られたにとどまった。
スパイトフルの艦上機型も検討されこれはシーファングと命名され10機が製作された。 シーファングの試作機は1947年時速790kmを出しピストンエンジン装備としてはイギリスピストンエンジン戦闘機の最高記録となっている。
形式: 単座戦闘爆撃機 エンジン:ロールスロイスグリフォン69 12気筒液冷2,375馬力 最大速度:773km/時(高度 7,925m) 699km/時(高度 1,676m) 654km/時 (海面上) 巡航速度 578km/時 上昇率: 1,472m/分 上昇時間:4.9分24秒(6,096mまで) 上昇限度:12,801m 航続距離:902km(落下タンク付き2,104km) 自重:3,337kg 全備重量:4,517kg 全幅:10.67m 全長:10.03m 武装:イスパノスイザ20mm機関砲4門 生産台数: 27
William Green “War Plane of The Second World War Vol.2” Doubleday & Company, 1960
Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998
Peter Lewis “The British Fighter since 1912” Putnam 1965
Owen Thetford “Aircraft of the Royal Air Force 1919-1958”
“Jane’s Fighting Aircraft of World War 2”, Bracken Books, London 1989