1937年4月、ホーカー社の設計者シドニー.カムは強力な新型エンジン、ネピア.セイバー(液冷24気筒2,030馬力)を使用した戦闘機の設計を検討していた。 新戦闘機は12挺の7.7mm機関銃を搭載する予定であった。 おりしも同様な考えを抱いていたイギリス空軍省は仕様F.18/37として発布、ホーカー社は試作機4機を受注するにいたった。 4機のうち2機はセイバーエンジン、他の2機はロールスロイス.バルチャ―Xエンジンを搭載する要求であった。 バルチャ―エンジンを装備した機体がさきに完成し、トルネードと名づけられ1939年10月テスト飛行を開始した。 バルチャ―エンジン装備の2号機は同年12月に飛行を開始したがすぐに事故で破壊されてしまった。 おりから始まった戦争のため生産の全力を既存のハリケーン戦闘機につぎこみ、開発は中断されることになった。 1940年10月に至り検討を再開したバルチャ―エンジン搭載2号機は20mm機関砲4門を装備して1940年12月から飛行した。 しかしバルチャ―エンジンが相次ぐ問題のため開発が中止されることになり、これにともなってトルネードの開発もキャンセルされた。 1941年2月、ホーカー社はまたトルネード1機の発注を受けた。 今回は空冷のブリストル.セント―ラスエンジン(2,210馬力)を搭載する条件であった。 本機は1941年10月に飛行し最高速度643km/時を記録した。 このセント―ラスエンジン装備機がその後のテンペスト戦闘機の開発にあたって貴重なデータを供給することになったのである。
形式: 単座迎撃戦闘機 エンジン:ロールスロイス.バルチャ― V 液冷24気筒1,980馬力 最大速度: 637km/時(高度 7,010m) 上昇時間:7分12秒(6,096mまで) 上昇限度:10,638m 自重:3,803kg 全備重量:4,873kg 全幅:12.78m 全長:10.01m 武装:7.7mm機関銃12挺または20mm機関砲4門 生産台数:4
William Green “War Plane of The Second World War Vol.2” Doubleday & Company, 1960 Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998 Peter Lewis “The British Fighter since 1912” Putnam 1965 O.G.Thetford & H.J.Cooper “Aircraft of the Fighting Powers” Francis K Mason “Hawker Aircraft since 1920” Putnam Aeronautical Books 1961