ホーカー.タイフーンはエンジンがまだ問題をかかえた中で実戦に投入されたため当初の目的であった迎撃戦闘機としては完全な失敗作であった。 しかしエンジン馬力が向上し、用途を低空での地上支援に変えてからは大活躍をした。 一時は低空で侵入しゲリラ的な攻撃をしかけてくるドイツのフォッケウルフ Fw 190を追尾できるイギリスの唯一の戦闘機となった。 タイフーンはハリケーンの後継機種として1937年に出されたイギリス空軍仕様 F.18/37に応じて設計され,1940年2月に初飛行した。 構造はホーカー社の基本的なものを採用し、コクピットは自動車タイプの開くドアであったがすぐにバブル型に変えられた。 エンジンは2100馬力の24気筒ネピア.セイバーであったがこれが問題のもとで、すぐにセイバーIIA(2180馬力)に換えられさらにセイバーIIB(2,200馬力)になった。 第一線には1941年7月から登場したが上昇力、高空性能が不足し、当初予定された迎撃戦闘機としては失格であった。 ほとんど前線から後退させられるところであったが低空専用として活路を見出し1942年にはフォッケウルフFw 190を始めて捕捉撃墜した。 そしてしだいに戦闘爆撃機としての用途が確立し、大陸における列車破壊に有名を馳せた。 1943年なかばには毎月150の列車を破壊するという猛烈ぶりであった。 武装は当初12挺の7.7mm機関銃であったが、任務が地上攻撃に変更されるにともない20mm機関砲4門に変更された。 さらに主翼も強化され最大454kgの爆弾あるいは8発のロケット弾を搭載しノルマンデー上陸に先立ってドイツの主な2箇所のレーダー基地を破壊している。 上陸後は大陸奥深く侵入し地上攻撃に猛威をふるいドイツの戦車を一時に137台破壊したこともある。 タイフーンはまた精密爆撃にも使われ、1944年、ドレドレヒトにあったドイツ軍司令部の建物を攻撃し、ドイツ将軍2名と多数の士官を殺している。 さらにロンメル将軍が車で移動しているところを襲い負傷させたのもタイフーンである。
形式: 戦闘爆撃機 エンジン: ネピア.セイバーIIC 液冷2,260馬力 最大速度:663km/時(高度 5,791m) 航続距離:821km 上昇時間:5分50秒(4,572mまで) 上昇限度:10,729m 自重:4,010kg 全備重量:6,341kg 全幅:12.67m 全長:9.74m 武装:20mm イスパノ機関砲4門、爆弾454kg 生産台数:3,270
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