1934年、イギリス空軍が出した高速軽爆撃機仕様P.4/34に応じてホーカー社が設計した。 空軍の仕様の第一要件が時速483km以上の高速性にあったので、すでに開発の進んでいたハリケーン戦闘機と共通する点の多いものとなった。 事実、主翼や尾翼はハリケーンと共通で、エンジンも同じロールスロイス.マーリンであった。 ただハリケーンより大きく、複座で胴体中央の下部には爆弾槽を持っていた。 試作機の製造は1935年半ばに始まったが、ホーカー社はハリケーン戦闘機の方に注力していたのでヘンリーは遅れ、初飛行したのは1937年3月である。 試作機はただちに各方面から好評をえたがイギリス空軍はヘンリーを爆撃機としてよりも標的曳航機として使うことに方針変更していた。 そのため胴体左側に風車のようなウインチをとりつけ、射撃訓練が終わると、それで標的をまきとるようになっていた。 生産は当時吸収合併していたグロスター社の工場で行われた。 1939年から就役が始まったが、標的曳航のためエンジンをふかす割には低速で、冷却効果が悪くエンジン過熱による故障続出したので1942年には退いた。 潜在的には優秀な第一線機になる能力をもっていた本機にはさびしい最後だった。
形式: 複座標的曳航機 エンジン:ロールスロイス.マーリンII 液冷12気筒 1,030馬力 最大速度:438km/時(海面) 上昇限度:8,230m 航続距離:1,529km 自重:2,726kg 全備重量:3,846kg 全幅:14.59m 全長:11.1m 生産台数:200
Bernard Fitzsimons ed. “The Illustrated Encyclopedia of 20th Century-Weapons and Warfare Vol.12” Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998 Francis K Mason “Hawker Aircraft since 1920” Putnam Aeronautical Books 1961