ショート サンダーランド Mk.III 

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モデルは AIRFIX製 1/72

21年間もRAF(イギリス空軍)で活躍した4発大型飛行艇でこの種類の航空機では最高のひとつとして認められている。 設計は第一次世界大戦後半から使われた複葉のショートCクラスエンパイア飛行艇の後継として出されたRAF仕様R.2/33に基づいて始められた。 初飛行は1937年10月、競合会社はサロであったが試作段階での事故でサロ社は撤退し1936年3月、ショート社に対して正式に試作命令が出された。 構造は全金属製のオーソドックスなもので爆撃照準器および前部機関銃座は機首に設けられ、尾部にも4連装の防御機関銃座が備えられた。 サンダーランドMk.1のエンジンはブリストルペガサスXVIII9気筒空冷1065馬力であった。 サンダーランドはRAFの飛行艇としては初めて動力式銃座を備えていた。 機首と尾部のそれぞれ4連装の7.7mm機関銃である。 さらに胴体両側にそれぞれ1挺の7.7mm機関銃も備えられた。 爆弾搭載は約1トン。 主翼付け根の胴体内に収められており爆撃時に爆弾架がせり出すようになっていた。 サンダーランドの最初の実戦配備は1938年夏、シンガポールにて行われた。 翌年ヨーロッパで第二次世界大戦がはじまるとその防御火力がきわめて有効であることが証明された。 1940年4月、8機のユンカースJu-88に攻撃されたが1機を撃墜、他の1機をノルウェーに不時着させたのである。 その後もビスケイ湾上空で輸送船団の護衛をしているとき襲ってきた8機のユンカースJu-88のうち3機を撃墜するという成果をあげている。 またRAFの哨戒部隊としてはじめてドイツのU-ボートを撃沈したのもサンダーランドであった。 また海上遭難救助にも活躍し、1939年9月ドイツのU-ボートに撃沈された輸送船からの無線電信を受けて2機のサンダーランドが急行、荒れる海に着水し34人を救助している。 1941年のクレタ島からの撤退時にも1機あたり87人のイギリス人を救い出している。 しかしサンダーランドのもっとも重要な任務は輸送船団の護衛と対潜水艦哨戒でその範囲はイギリス周辺から大西洋、地中海の全域にわたった。 サンダーランドは第二次世界大戦後も長く使われ、朝鮮戦争ではRAFとして参加しした唯一の航空機であった。 ニュージーランド空軍では1967年まで使われていた。   

 
性能諸元(Sunderland Mk.V)

形式:長距離哨戒飛行艇   エンジン:プラットアンドホイットニー R-1830 空冷 1,200馬力   武装:7.7mm固定機関銃4挺 7.7mm 旋回式機関銃8挺、爆弾または爆雷 2,250kg   最大速度:334km/時(海面) 343km/時(高度1,524m)  巡航速度:214km/時   海面上昇率:256m/分   上昇限度:5,460m   航続距離:4,795km   自重:16,783kg   全備重量:29,482kg   全幅:34.36m   全長:26.00m   生産台数:749

参考文献

Elke C. Weal “Combat Aircraft of World War Two”, Arms and Armour Press, London 1977
Bernard Fitzsimons ed. “The Illustrated Encyclopedia of 20th Century-Weapons and Warfare” Vol.22
William Green “War Plane of The Second World War Vol.5” Doubleday & Company, 1960
Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998
Owen Thetford “British Naval Aircraft since 1912” Putnam Aeronautical Books 1958
Owen Thetford “Aircraft of the Royal Air Force 1919-1958”
G.R.Duval “British Flying Boats and Amphibians”
MACH 1 (l’encycropedie de l’aviation) Vol.10 Editions Atlas