アラドAr.234は世界で2番目に実戦に参加したジェット機である。 メッサーシュミット Me262とならんでドイツが開発した最高の航空機であった。 その開発は1941年初めから始まった。 2基のジェットエンジンを装備した高翼型のスマートな機体であった。 乗員は透明なコクピットに入った。 胴体はあまりにも細くしかも高翼型であったため主脚を収容することができずふつうの着陸装置をあきらめ車輪の代わりに3個の橇が一つは胴体の下、他の2つはエンジンナセルの下につけられた。 3個の車輪がついたドリーのうえに乗せられて離陸したあとドリーは切り離される設計であった。 Ar234試作機の初飛行は1943年6月のことであった。 機体そのものは優れた設計であることが証明されたが橇で着陸するのは現実的ではないことが判明し量産型からは通常の車輪が装着された。 エンジンは当初はユンカース.ユモエンジンであったが供給能力の問題もあって出力の少ないBMW003エンジンを2個ずつまとめて搭載する型がC型として1944年2月から登場した。 しかし4つのエンジンをうまくコントロールするのは容易ではなくエンジントラブルが結局最後までつきまとったのである。
C型は4発にしたためエンジン推力に余裕ができ積載能力が増したため偵察機型、爆撃機型、はては激化する連合軍爆撃隊を迎撃するための戦闘機型などいろいろな型を同時に開発させられたこと、さらに空襲を避けるために工場をなんども移動、分散させられたなどが重なってなかなか進まなかった。 終戦までに14機の各型試作機が完成したがエンジンの供給が間に合わず実戦に参加することはないままで終わった。
形式: 4発ジェット爆撃機 エンジン:BMW 003A(推力800kg)4基 武装:20mm MG151機関砲2門、爆弾 1,000kg 最大速度:794km/時(海面) 894km/時(9,456m) 上昇時間:16.7分(10,000mまで) 上昇限度:12,000m 航続距離:1,224km 自重:6,538kg 全備重量:11,010kg 全幅:16.9m 全長:15.1m 生産台数:274(C型合計)
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