ユンカース Ju 287 ジェット爆撃機 

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モデルは MERLIN MODELS製 1/72
レジンキット

1943年初め、ユンカース社はジェットエンジンを搭載し,連合軍戦闘機のスピードを上回る大型爆撃機の開発に着手した。 当初は25度の後退角主翼を採用し速度はマッハ0.8に達する予定であったが、後退角はスピード向上には有利であったが低速時には翼端失速を起こし飛行が著しく不安定になるという事実があったので設計者のハンス.ヴォっケは発想を逆転し主翼に前進角を与えることを考えたのである。 理論上は前進角主翼にすると空気抵抗に関しては後退角と同じ効果が得られ、低速時の失速は翼の付け根から始まるので翼端近くに配置されている補助翼の効きがよくコントロールしやすくなるはずであった。 しかしながら発想があまりにもとっぴであったので実際に原寸大の飛行機を作って飛行実験をしてみることが必要であった。 とりあえずハインケル He 177の胴体を使いこれに主翼をとりつけ、尾部はユンカース Ju 388 のものを流用した。 主脚の引き込みを考えるところまではいかなかったので、とりあえず固定脚がとりつけられた。 前輪は墜落したアメリカのB-24爆撃機から回収したもの、主輪はユンカース J-52輸送機のものの流用である。 エンジンは4基のユモ004Bでそのうちの2基は胴体前部にあとの2基は主翼の下に取り付けられた。 初飛行は1944年8月16日である。 離陸を容易にするために追加のロケットエンジン2基が付けられ離陸後に切り離された。  この常識外れの設計の飛行機は多少のトラブルはあったものの17回のテスト飛行が無事に行われ、おおむね期待したとおりの結果がえられたが、激化する連合軍の爆撃に対抗する迎撃戦闘機の開発を優先するために本機の開発は一部を除いていったん中止された。 Ju 287の2、3号機の組み立てが行われているとき工場は侵攻してきたソ連軍に占領され機体は設計者ヴォッケならびに他の開発メンバーとともにソ連に移送されたと思われる。  

 
性能諸元(Ju 287V3 計画値)

形式: ジェット重爆撃機   エンジン:BMW 003A-1 ターボジェット推力800Kg 6基   最大速度:814km/時(海面) 859km/時(高度 5,000m)  巡航速度 715km/時   航続距離:1,576k0m(爆弾4,000kg携行)   上昇時間:10分30秒(6,000mまで)    自重:11,930kg   全備重量:21,519kg   全幅:20.12m   全長:18.60m   武装:13mmMG131 旋回式機関銃2挺、爆弾4,000kg   生産台数: 3

参考文献

“Jane’s Fighting Aircraft of World War 2”, Bracken Books, London 1989
Enzo Angelucci & Paolo Matricardi “World War 2 Airplanes”, Rand McNally, Chicago 1978
Bernard Fitzsimons ed. “The Illustrated Encyclopedia of 20th Century-Weapons and Warfare Vol.14”
William Green “Warplanes of the Third Reich” Military Book Society, London 1970
William Green “War Plane of The Second World War Vol.10” Doubleday & Company, 1960