アラド Ar 240 

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モデルは REVELL製 1/72

1939年、アラド社は時代を超える画期的な防衛システムを持つ航空機の開発を計画していた。 銃座を機体内に埋め込み潜望鏡のようなもので照準することによって空気抵抗を増やさず速度と防衛力を高め、長距離戦闘機、爆撃機、偵察機というように多目的に使えるようというものであった。 ドイツ空軍はこのアイデアに賛同し計画を進めるよう促した。 構造は全金属製、2人の搭乗員のために与圧キャビンを備え、防御火器はすべてリモートコントロール照準で機体内に埋め込まれていた。 低速度での飛行安定を改善するために自動で作動する主翼前縁スラットとパラシュートと同じような原理で作動するダイブブレーキを備えていた。 ドイツ空軍はアラド社の計画に沿った仕様にした開発命令書を発布し、1939年の夏、開発が始められた。 その翌年初飛行した試作最初の2機は戦闘爆撃機用としての機体であったが、単なる飛行テストを行うもので本機に盛り込まれる最先端技術は含まれていなかった。 潜望鏡型の照準器の開発が大きく遅れていたのである。   ひとつの問題は潜望鏡型の照準器では目標の視認が困難であった。 さらに大きな問題は本機が飛行する予定の高高度では潜望鏡の先端が凍って見えなくなることであった。 さんざん試行錯誤を重ねたのち先端に塩化カルシュームを通したフィルターをつけることで解決した。 尾部にとりつける予定であったパラシュート式のダイブブレーキと主翼前縁のストラップも問題山積で取り外されることになった。  種々の変更のため試作第三号機が完成したのは1941年春のことであった。 テスト結果は前より大幅に改善はされたものの以前として満足できるものではなかった。 リモコン操作の防御火器は信頼性に欠けるため取り外され、替わりにカメラ装備をした偵察機として数回イギリス上空の偵察に使われ、本機の高空性能と高速によりイギリス戦闘機の迎撃に会うことはなかった。 アラド社は1942年暮れまでに大量生産準備の体制を整えていたがエアハルト.ミルヒによって本機の開発をストップする命令を出されてしまったのである。    

 
性能諸元(Ar240A-6)

形式:長距離偵察機   エンジン:ダイムラーベンツDB601E 液冷1,175馬力2基   武装:7.9mm MG17固定機関銃x2(携行弾数各銃250発)、旋回式機関銃x4   最大速度 618km/時   最大巡航速度 535km/時   上昇時間:11分(高度6,000mまで)  上昇限度:10,500m   航続距離:2,000km   自重:6,200kg   全備重量:9,450kg   全幅:13.33m   全長:12.81m   生産台数:15

参考文献

William Green “Warplanes of the Third Reich” Military Book Society, London 1970
Elke C. Weal “Combat Aircraft of World War Two”, Arms and Armour Press, London 1977
William Green “War Plane of The Second World War Vol.1” Doubleday & Company, 1960
Enzo Angelucci & Paolo Matricardi “World War 2 Airplanes”, Rand McNally, Chicago 1978
Bill Gunston “Fighting Aircraft of World War 2”, Prentice Hall Press 1988
Bernard Fitzsimons ed. “The Illustrated Encyclopedia of 20th Century-Weapons and Warfare” Vol.4
Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998
Philip Jarret ed. “Aircraft of the Second World War” Putnam’s History of Aircraft
William Green “Warplanes of the Third Reich” Military Book Society, London 1970