第二次世界大戦後半、ドイツは連合軍による大規模の空襲にさらされていた。 守勢に立たされたドイツ戦闘機隊は総力をあげてこれの迎撃に努めたが、アメリカのボーイングB-17やコンソリデ―テッドB-24の密集隊形からの防御火器の反撃は強烈で、迎撃戦闘機隊の損害も多大なるものがあった。 これを減らすためには敵の防御火器にさらされる時間がもっとも短くなる正面からの攻撃が最適であったが、それでもFw190のような空冷エンジン装備機では正面面積が大きくアメリカ爆撃隊の銃手から狙いやすかったのである。 この課題に対してブロームウントフォス社の設計者フォクツ博士が1943年に出した案がこのBv40である。 グライダー形式でエンジンをなくして正面面積を小さくすれば、高速のすれちがい攻撃では敵の銃手からは視認できないと考えられた。
武装は胴体の両側に備えられた2門の30mm機関砲で、操縦席部分は厳重な装甲板で覆われた。 戦略物資の節約のため主翼、胴体などその他の箇所は木製であった。 胴体下に取り付けられた車輪は離陸後切り離され、着陸は胴体下の半引っ込み式のスキーで行われた。 構造は簡単であり熟練工でなくても組み立てができ、さらに大きな利点は操縦者の訓練もグライダー操縦だけでいいという点であった。
Bv40の離陸はメッサーシュミットBf109戦闘機に曳航されて行い、敵爆撃編隊の前方少し高いところで切り離され、BV40は20度の角度で降下しながら30mm機関砲で攻撃することになっていた。
19機の試作機と200機の量産機が発注され、最初の試作機の初飛行は1944年5月、メッサーシュミットBf110で曳航されて行われた。 続く6機の試作機が完成したがその年の8月にこのプロジェクトは放棄されてしまった。
形式: 単座グライダー戦闘機 エンジン:なし 最大速度:900km/時 自重:835kg 全備重量:950kg 全幅:7.9m 全長:5.7m 武装:30mm MK108機関砲2門 生産台数:6
Myhra, David (1998). Secret Aircraft Designs of the Third Reich. Atglen: Schiffer.
Nowarra, Heinz (1983). Die deutsche Luftrustung 1933-1945. Bonn: Bernard and Graefe.
Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998