フィーゼラー Fi103 

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モデルは ENCORE製 1/72

第二次大戦末期絶望的な局面を迎えたドイツ軍では多くの奇抜なアイデアの武器が考案された。 そのひとつがフィーゼラーFi103である。 もとは無人の誘導ミサイルでイギリスの艦船あるいは厳重に防備された施設を攻撃する目的であったがこれにはメッサーシュミットMe328が選ばれてしまった。 一方特殊な攻撃方法を考える実験部隊が組織され運用法を検討することになった。 ひとつの考えはFw190戦闘機に特殊大型爆弾を搭載して攻撃することであったが、連合軍戦闘機の警戒網を突破することは不可能に近い。 そこでFi103に操縦者を乗せ戦域から離れたところから発射し目標に命中する直前にパイロットは脱出する方法が考えられた。 1944年9月、この実験第一号機がハインケルHe111爆撃機の下に吊り下げられて発進したが、He111から切り離された直後パイロットがうっかり操縦席のキャノピーを射出するレバーを押してしまったので安定を失い墜落してしまったのである。 翌日から第二号機のテストが行われおおむね良好の結果を出した。  実戦用の型は通常の無人機型に木製の操縦席をロケットエンジンの直前に設けられた。  運用方法はHe111に吊り下げられて戦域の近くまで行き後は目標に向かっていき直前で操縦席から脱出、パラシュートで降下するという計画であった。 しかし現実には時速800km/時で飛ぶ飛行体のキャノピーを押し開けるのは不可能に近く、計算ではパイロットが無事生還できる確率は100分の1という実質的には特攻であった。 175機のFi103が製造されたが有人ミサイルが実戦に使われることはなかった。 

 
性能諸元(Fi 103-IV)

形式: 単座ロケット攻撃機   エンジン: アーガス As014 パルスジェット推力300kg   最大速度:795km/時(高度2,400m)   航続距離:328km(切り離しから目標まで)    全備重量:2,252kg(含爆弾850kg)   全幅:5.72m   全長:14.30m生産台数: 175(無人ミサイルを含む)   

参考文献

Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998
William Green “Warplanes of the Third Reich” Military Book Society, London 1970
Alfred Price "The Last Years of the Luftwaffe May 1944 to May 1945" Motorbooks International