フォッケウルフ Fw 190A 

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モデルは AIRFIX製 1/72

1941年9月イギリス空軍を震撼させるようなことが起こった。 英仏海峡上空でスピットファイア5型機、5機がドイツの見たこともない空冷エンジン搭載の戦闘機4機と交戦、またたくまにスピットファイア3機が撃墜されてしまったのである。 この新型戦闘機こそある意味では最高の戦闘機ともいわれるフォッケウルフFw190Aであった。 1942年6月間違ってイギリスに着陸してしまったFw 190Aはすぐ綿密に調査されたが、その結果Fw 190Aは予想していた以上の高性能であることが判明した。 連合軍のどの戦闘機よりも速く、抜群のダッシュ力、軽快な運動性、4門の20mm機関砲に2挺の7.9mm機関銃という破格の重武装はイギリスの技術者達に劣等感をいだかせるに十分であった。 Fw 190の設計は1937年、ドイツ空軍から出された仕様に基づき始められ、当初は液冷のダイムラー.ベンツ DB 601Aエンジンと空冷のBMW 139エンジンの両方を想定していたが、空軍からの指示でBMWエンジン1本に絞って行われた。 ドイツ空軍はメッサ-シュミット Bf 109だけで十分であると考え、フォッケウルフのデザインには消極的であったため試作第一号機が飛行したのはようやく1939年6月になってからであった。 空冷エンジンの前面の空気抵抗を減らすためエンジンの前に大きなプロペラスピナーをつけ冷却ファンが設けられていた。 試作機は水平飛行で時速592kmを記録し、きわめて優れた運動性を示した。 しかし大きなスピナ-構造がエンジン加熱を招き通常のエンジンカウリングに戻された。 第一号機の初飛行と前後してエンジンをBMW 139からもっと強力なBMW 801に換えることが決定された。 1940年の冬、18機がテストセンターに送られ、公式テストが開始され最初の100機の量産機Fw 190A-1が1941年春には完成した。 武装は当初は主翼に7.9mm MG17機関銃4挺であったが、すぐに2挺の7.9mmが20mm MG FF機関砲2門に換えられ、その後すぐに7.9mm機関銃2挺が追加された。 このA-2型は1941年夏から第一線に配備され、前述のようにスピットファイア5型よりも優秀であることが実戦で証明された。 しかしBMW 801Cエンジンのトラブルが多く、またMG FF 機関砲の発射速度が遅くあまり有効でないため、次のA-3型からBMW 801Dエンジン(離昇出力1,700馬力)に換えられ、発射速度の速いMG151 20mm機関砲が追加された。 1941年末までには210機のFw 190Aが就役、生産スピードは急速に上がり、1942年始めには月産が500機になりドイツ戦闘機生産の半分がFw 190Aで占められるようになった。 1942年半ばには短時間では2,100馬力を出すBMW 801D-2エンジンを搭載、最高時速が666kmに達するA-4型が登場した。 Fw 190Aは速度、ダッシュ力、運動性に優れていたほか、機体が頑丈できわめて汎用性の高い機体であった。 戦闘爆撃機としても有効であることを示し、イギリスのレーダーを避けるために低空で侵入しピンポイント爆撃を行うゲリラ攻撃に威力を示した。 タイフーンが登場するまでイギリスには低空でFw 190Aに追いつける戦闘機がなかったのである。 1943年の終わりにはドイツ空軍でもっとも重要な地上攻撃機となっていた。 また1944年になってアメリカ軍の重装甲で守られたB17やB24の編隊に立ち向かうにはFw 190の重武装でもまだ不足であるため両翼に30mm機関砲2門か20mm機関砲4門を装備した型も現れた。 これらは重装備のため運動性が鈍く、他の標準型のFw 190の護衛を受けた。

 
性能諸元(Fw 190A)

形式: 戦闘機   エンジン: BMW 801D-2 空冷1,700馬力   最大速度: 502km/時(海面), 615km/時(高度 6,000m)   巡航速度 447km/時   航続距離:800km   海面上昇率 863m/分   上昇限度:10,600m   自重:2,900kg   全備重量:3,980kg   全幅:10.5m   全長:8.8m   武装:20mm MG 151機関砲2門、20mm MG FF機関砲2門、7.9mm MG17機関銃2挺   生産台数: 各型合計 約19,500

参考文献

Elke C. Weal “Combat Aircraft of World War Two”, Arms and Armour Press, London 1977
William Green “War Plane of The Second World War Vol.1” Doubleday & Company, 1960
Enzo Angelucci & Paolo Matricardi “World War 2 Airplanes”, Rand McNally, Chicago 1978
Bill Gunston “Fighting Aircraft of World War 2”, Prentice Hall Press 1988
Bernard Fitzsimons ed. “The Illustrated Encyclopedia of 20th Century-Weapons and Warfare” Vol.4
Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998
Philip Jarret ed. “Aircraft of the Second World War” Putnam’s History of Aircraft
William Green “Warplanes of the Third Reich” Military Book Society, London 1970
Alfred Price “Fighter Aircraft” Arms and Armour Press, London 1989