ドイツ最高の戦闘機と目されるフォッケウルフFw 190は登場以来戦場の要求に合わせて次々と改良が行われてきた。　最初の型Fw 190Aが実際に配備される前に液冷エンジンを搭載し航空性能を改善する検討が進められていた。　その最初はダイムラー．ベンツDB 603エンジン搭載のFw 190B、次に同じエンジンで主翼を延長したFw 190C、最後がユンカ－ス.ユモ２１３エンジンを積んだFw 190Dであった。　最終的にはユモ２１３エンジン搭載のものだけが残り開発が続けられた。　これがFw 190シリーズのなかでも最高傑作といわれ連合軍から“長鼻のドラ”と呼ばれて恐れられた Fw 190Dである。　試作１号機のFw 190V17は１９４１年の冬から試験飛行が始まった。　当初からすばらしい性能を示し、さらに５機が試作された。　試作機は空冷エンジン使用のFw 190Aの機体をほとんど流用されたが、液冷エンジンのため機首が長くなるので重心のバランスをとるために胴体後部が延長された。　武装はA型と同じく20mm機関砲４門に7.9mm機関銃２挺であった。　 量産型は武装は20mm機関砲２門を取り外して20mm MG151機関砲２門と13mm MG131機関銃２挺であった。　第一線には１９４３年後半から配備が始まり、ただちに非常な好成績を収めた。　当初は液冷エンジン搭載の Fw 190に懐疑的であったパイロットも実際に登場してみるとFw 190Dは世界最高の速度を誇り、Fw 190Aより上昇力、急降下速度に優れ、これならアメリカのP-51ムスタング以上だと自信をいだかせたのである。 Fw 190Dはユモ２１３A-1エンジン（離昇出力1,776馬力）を搭載、３翔の低速回転プロペラを駆動した。　液冷エンジン搭載機特有の冷却器の空気取り込み口を無くし、空気抵抗を減らすため、エンジンの周りに環状の冷却リングが取付けられているためにちょっと目には空冷エンジンに見える。　水－メタノール噴射により短時間では2,240馬力を出すことができた。