フィーゼラー Fi-156 シュトルヒ 

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モデルは HELLER製 1/72

第二次大戦中、ドイツ軍のいくところFi 156ありといわれたほど愛用された汎用機で、フィーゼラー社の航空機の中では最も有名なものとなった。 初飛行は1936年初め、高翼単葉で張り出した風防ガラスの提供するすばらしい視界、主翼の前縁のスラットと後縁のフラップによる驚くべき短距離離着陸性能、荒地への乱暴な着陸に耐える長くふんばったような主脚、いずれも陸軍協動機としての要素をすべて兼ね備えた機体であった。 最初のテスト飛行の結果は期待をはるかに上回るもので、風速4mであればわずか50mの滑走で離陸し、着陸には16mしか要しなかった。 現在その飛行可能機の1機がアメリカのサンデイエゴ航空博物館に展示されているが、筆者はそこに飛来したFi 156が、周囲を高い木立で囲まれた100メートル四方くらいの駐車場にらくらくと着陸するのを目撃したことがある。 同種の機体としてはメッサ―シュミットが Bf 163、ジーベルがSi 201, フォッケウルフがオートジャイロFw 186をもって競争したが、Fi 156はすでに生産体制に入っており具体的な比較テストはなされなかった。 1939年終わりまでに225機のFi 156がドイツ空軍に納入された。 初期の生産の一部が市民戦争下のスペインに送られ、連絡用などに使われた。 ソ連のスターリンは本機に多いに興味を示し、アントノフに同種の航空機の設計を命じた。 ソ連版のFi 156はエストニアの工場で1941年から生産されるはずであったが、同年のドイツ軍の侵攻で工場は占領されてしまった。 Fi 156がその特徴をもっとも発揮したのは、1943年にケーブルカーでしか行けない急峻な山の上のホテルに監禁されたムッソリーニの救出作戦である。 ここでホテルの裏のわずかな空き地に着陸、見事任務をやりとげたのである。

 
性能諸元(Fi 156)

形式: 陸軍協同機   エンジン: アーガス As 10C 液冷240馬力  武装:7.9mm MG-15旋回式機関銃1挺   最大速度:175km/時(海面)   巡航速度 128km/時  上昇時間:3分20秒(1,000mまで)  上昇限度:5,090m  航続距離:385km   自重:930kg   全備重量:1,320kg   全幅:14.25m   全長:9.90m   生産台数:2,900

参考文献

Elke C. Weal “Combat Aircraft of World War Two”, Arms and Armour Press, London 1977 William Green “War Plane of The Second World War Vol.5” Doubleday & Company, 1960 Enzo Angelucci & Paolo Matricardi “World War 2 Airplanes”, Rand McNally, Chicago 1978 Bernard Fitzsimons ed. “The Illustrated Encyclopedia of 20th Century-Weapons and Warfare” Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998 William Green “Warplanes of the Third Reich” Military Book Society, London 1970 木村秀政 “世界の軍用機ー第二次世界大戦編” 平凡社カラー新書