1940年、ヨーロッパ西部戦線でのグライダーDFS230の活躍に気をよくしたドイツ空軍当局はそれを大型化したグライダーの開発を計画した。 その結果がゴータGo242である。 Go242は貨物の収容能力を最大にするために大きな角型の胴体を持ち主翼は胴体上部につけ、主翼付け根部分から双胴型の尾翼をのばした構造とした。 胴体は溶接鋼管構造で表面は張布張りで、後部は上に折れ曲がってぱっくり口を開け、自動車、戦車などが地上から直接乗り入れできるようになった。 その他の部分は木製で補助翼などの可動部分は張布張りであった。
この構造に満足した空軍当局はただちに本機の開発に最優先権を与えGO242の型式名を与えた。 搭乗員は2人で前部に横に並んで座り、完全武装の兵士21人を載せることができた。 防御火器としては4挺の7.9mm機関銃が機首、尾部などに配置された。 1941年8月には最初の12機が納入され翌月36機が続いた。 その年の終わりまでに253機が生産された。 離陸はハインケルHe111爆撃機の改造版による牽引で行われたが1942年ころからワルターRI202B固体燃料ロケット(推力500kg)を2個が取り付けられ加速を30秒間補助することも行われた。 このロケットは離陸後切り離された。
GO242開発の初期段階から、使用したグライダーを回収して再利用することが考えられていた。 また前線の小さな飛行場からはグライダーを曳航して離陸することがむづかしいという問題もあった。 この解決法としていろいろ考えられたが、結局もっとも簡単な解決法は小さなエンジンをつけて、荷物を降ろし軽くなった後は自力で飛び上がって基地に戻れるようにすることであった。 この目的のためにエンジンは捕獲したソ連製シェブトフM-25,BMW132Z,フランスのノーム.ローヌ14M空冷エンジンなど手に入るものが選ばれた。 また前部のスキッドに替えて通常の車輪がつけられた。
Go244の初飛行は1941年の終わりころに行われ、続いて現存のGo242の改造作業が始められた。 1942年秋までに172機がGo244に改造されたが、このころには東部戦線ではGo242あるいはGo244などの能力不足が明らかになり、もっと大型のメッサーシュミットMe323や通常のユンカースJu52輸送機などの方が有用であることが分かり、Go242,244は訓練用にまわされ第一線からははずされてしまった。
形式:輸送用中型グライダー エンジン:ノーム.ローヌ14M空冷14気筒 出力 700 hp 最大速度 288km/時(高度4,000m) 巡航速度269km/時 上昇率:270m/分 上昇時間:4分(高度810mまで) 上昇限度:7,650m 航続距離:736km 武装:7.9mmMG34機関銃4挺 自重:5,105kg 全備重量:5,229kg 全幅:24.50m 全長:18.96m 生産台数:1,704(Go244を含む)
William Green “Warplanes of the Third Reich” Military Book Society, London 1970
Elke C. Weal “Combat Aircraft of World War Two”, Arms and Armour Press, London 1977
Ed.: David Donald “Encyclopedia of World Aircraft” Prospero Books 1999
Air Classics、 Vol.13 No.11 Nov