Ｈｅ５９の試作が始まったすぐ後、ドイツ軍当局はハインケル社に対してカタパルト射出の水上艦艇搭載用複座水上偵察機の開発を指示した。 これに応じてハインケル社が設計した機体がＨｅ６０である。 構造は当時のハインケル社の標準の木金混合、エンジンはＢＭＷ ＶＩ6.0ＺＵ 水冷１２気筒660馬力であった。　 初飛行は１９３３年始め。 　水上ならびに飛行で優秀な運動性を示したが欠点は頑丈すぎて機体が重く作戦上の搭載量が少ないことであった。　 そこで試作２号機ではＢＭＷ ＶＩ 7.3エンジン（離昇出力750馬力）に換えられたが性能向上は微々たるものであったので量産型からもとのエンジンに戻された。 最初の軍備拡張計画で１９３４年１月から１９３５年９月の間に８１機のＨｅ６０を納入することが要求され、量産第一号機は１９３４年秋からドイツ海軍への配備を開始した。 これが第一次大戦終了時以来最初にドイツ海軍に配備された航空機となった。 １９３６年１１月、６機のＨｅ６０がスペインのコンドル軍団に派遣されファシスト側に立って海上哨戒などに使われた。　 第二次大戦前はドイツ海軍艦艇の搭載水上機はほとんどＨｅ６０で占められていたが順次新型のＡｒ１９６に置き換えられ、１９３９年９月時点では沿岸警備用として５４機のＨｅ６０が北海に、２７機がバルチック海に配備されていた。 頑丈で使いやすい飛行機ではあったが旧式化は覆いがたく１９４０年初めには第一線から退いていたが、１９４１年のソ連侵攻作戦で帰り咲き１９４３年秋まで使われた。