無骨なスタイル、波板構造で固定脚。 このお世辞にも洗練されているとは言いがたい飛行機は誕生してから40年も第一線にあって使われ続け、航空機史上でもっとも重要なもののひとつになった。
簡単に車輪をスキーに交換でき、頑丈で使いやすく400mの滑走で離陸できることからあらゆる方面で愛用され、“ユー叔母さん“の愛称をつけられていた。
JU 52は当初単発機として設計され1930年10月に初飛行した。 ついでその6ヶ月後の4月、3発型のJU52が初飛行した。 プラットアンドホイットニーのホーネットエンジン(575馬力)をBMWがライセンス生産したエンジンを搭載して翌年から生産が始められた。 第二次大戦が始まるまではJU52は主にルフトハンザ航空をはじめ多くの航空会社で使われた。 開発中のハインケルHe111爆撃機が完成するまでのギャップをうめるために爆撃機としても使われた。 最初はスペイン市民戦争でフランコ軍側で兵員輸送などにあたったがその一部は爆撃作戦にも従事した。 1937年までには新型爆撃機のドルニエDo17、ハインケル He111、ユンカース Ju86などが就役し始めたためJu52は本来の輸送任務に戻った。 第二次大戦が勃発するとほとんどの機体はドイツ空軍に徴集された。 1940年春のノルウエー、デンマーク侵攻作戦では約600機が参加し、パラシュート部隊の輸送などに大活躍した。 この作戦で約25%の機体を失ったものの残りは北アフリカ、バルカン方面で使われ、クレタ島侵攻でもパラシュート部隊の輸送に大活躍したのである。 ドイツにおける生産は1944年まで続き5,000機近くが作られた。 後継機種のJu 252, Ju 352の生産が思わしく進まないためJu 52は戦争終結時まで使われ、戦後もスペインで生産が続けられ1973年まで第一線で使われた。 スイスでも1969年まで就役していたのである。
形式: 中型爆撃/輸送機 エンジン:BMW 132A-3 空冷725馬力3基 最大速度:265km/時(海面) 巡航速度 209km/時 航続距離:1,000km 上昇時間:17分30秒(3,000mまで) 上昇限度:5,900m 自重:5,720kg 全備重量:10,500kg 全幅:29.24m 全長:18.90m 武装:7.9mmMG15 旋回式機関銃4挺、爆弾500kg 生産台数: 約4,850
Elke C. Weal “Combat Aircraft of World War Two”, Arms and Armour Press, London 1977
Enzo Angelucci & Paolo Matricardi “World War 2 Airplanes”, Rand McNally, Chicago 1978
Bernard Fitzsimons ed. “The Illustrated Encyclopedia of 20th Century-Weapons and Warfare Vol.14”
Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998
William Green “Warplanes of the Third Reich” Military Book Society, London 1970