ピアッジョ P.108はイタリア空軍唯一の4発戦略爆撃機である。 登場するのが遅すぎたがいろいろな面で当時のイタリア空軍機としては特筆すべき航空機であった。 性能も他国の一流機に匹敵したうえ時代を先取りした要素も含んでいたのである。 1939年11月から1943年8月までの間に24機が生産され主に地中海方面で使われた。 設計は1937年3月、ジョバンニ.カシラギの手によって始められた。 カシラギはそれ以前10年間にわたりアメリカの航空業界で働き大型機に関する経験を積んでいた。
P.108は全金属製で低翼機で1,350馬力のピアッジョP.XII空冷エンジン4基を搭載、防御火器は強力で外側のエンジンナセルに2挺づつのリモートコントロール式12.7mm機関銃座に胴体中央部には7.7mm機関銃を2挺、機首と胴体下部には12.7mm機関銃1挺ずつが備えられていた。
P.108の開発計画は1939年にイタリア空軍によって行われた設計コンテストで提示された。 このときは競争相手のカント社のZ.1014に敗れたが、その後破格の値引きによって巻き返しに成功した。 初飛行は1939年11月であったが、評価に手間取りさらに訓練に長い日にちを費やしたため最初の実戦任務についたのは1942年6月のことであった。 P.108の経歴は1943年3月、他のほとんどの飛行機とともにドイツ軍の手で押さえられた時点で終わりとなった。 ドイツ軍はP.108を実戦に使うことはなかったのである。
形式: 長距離戦略爆撃機 エンジン:ピアッジョ P.XIII RC35 空冷1,500馬力4基 最大速度:430km/時(高度 4,000m) 巡航速度 320km/時 航続距離:3,520km 上昇時間:21分8秒(5,000mまで) 上昇限度:8,500m 自重:17,325kg 全備重量:29,885kg 全幅:32.00m 全長:22.29m 武装:12.7mmブレダSAFAT旋回式機関銃8挺、爆弾 3,500kg 生産台数:
Elke C. Weal “Combat Aircraft of World War Two”, Arms and Armour Press, London 1977
Enzo Angelucci & Paolo Matricardi “World War 2 Airplanes”, Rand McNally, Chicago 1978
Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998
Enzo Angelucci & Paolo Matricardi “Combat Aircraft of World War 2 1941-1942
Jonathan Thompson “Italian Civil and Military Aircraft 1930-1945”
Chris Dunning “Courage Alone- The Italian Air Force 1940-1943” Hikoki Publication