1930年代後半、双発単座急降下爆撃機SM.85は鳴り物入りで登場したもののまったくの失敗作であった。
1936年12月に初飛行したが、その後開発が遅れ32機の機体が完成したのは1939年である。 金属製の骨組みに大部分は木製の表皮という構造で、外観から‘空飛ぶバナナ’というあだ名がつけられた。 2基のピアッジョ空冷7気筒エンジン(500馬力)を装備、目標を視認するためにパイロットの足元の床は窓が取り付けられていた。 主翼後縁にはダイブブレーキを持っていた。 武装は驚くほど貧弱で500kgの爆弾の他は機首の下部に1挺の12.7mm機関銃を持つだけであった。
1940年6月、イタリアが参戦したとき32機のS.M.85はイタリアが持つ唯一の急降下爆撃機であったが、その欠陥があきらかになり、2回の出撃のあとドイツ製のユンカ-スJU87Bに置き換えられてしまった。 2回目の出撃で敵を見ず、爆弾を抱えたまま帰還したものの中には着陸前に爆弾を捨ててしまったパイロットもあった。 主脚が折れる事故を恐れたのである。 2倍の出力を持ったエンジン(ピアッジョ P.XI R.C.40 1,000馬力)に換装する計画があったが実現しなかった。
形式: 急降下爆撃機 エンジン:ピアッジョ P.VII RC35 空冷500馬力2基 最大速度:368km/時(高度 4,000m) 巡航速度 310km/時 航続距離:827km 上昇時間:13分40秒(4,000mまで) 上昇限度:6,500m 自重:2,950kg 全備重量:4,190kg 全幅:14.0m 全長:10.4m 武装:12.7mm 機関銃1挺、爆弾 500kg 生産台数: 36
Elke C. Weal “Combat Aircraft of World War Two”, Arms and Armour Press, London 1977
Bernard Fitzsimons ed. “The Illustrated Encyclopedia of 20th Century-Weapons and Warfare Vol.22”
Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998
Jonathan Thompson “Italian Civil and Military Aircraft 1930-1945”