軽爆撃機としては始めての胴体内爆弾槽、可変ピッチプロペラ、分割式フラップを採用したキ―３０はデビュー以来ほとんどが中国戦線で使われたため華々しい戦果は記録に残ってないが、そのくせのない安定した性能は搭乗員からは絶賛を博した。　１９３０年代後半、日本陸軍は９７式戦闘機、９７式重爆、９７式司偵とつぎつぎと純粋に日本の設計になる近代的な航空機を戦列に加えていったが軽爆撃機の分野だけが遅れていた。　これを埋めるために１９３６年５月、航空本部は三菱と川崎に開発を指示した。　三菱キ―３０は当初引っ込み脚で設計されたが風洞テストの結果、性能向上はそれによる重量増加と複雑さに見合わないことが分かったので固定脚となった。　初飛行は１９３７年２月。　操縦性はよく速度も陸軍の要求仕様を満たしたので９７式軽爆撃機として三菱名古屋工場で翌年から生産が開始された。　中国戦線で活動を開始したがもっとも信頼のおける航空機としてパイロットの信頼を勝ち得た。　中国あるいは太平洋戦争開始直後はキー３０はほとんど敵戦闘機のいない場所での作戦であったので損害は少なかったが、連合軍の戦闘機が出現するやいなや損害がうなぎのぼりになり活動の限界を知らされ、後方にさがって訓練用に使われたり、あるいはタイ空軍に供与された。　連合軍のコードネームは“アン”である。