日本陸軍最後の複葉戦闘機。 このキー１０の操縦性があまりにも優れていたため、後々まで陸軍のパイロット達に格闘性能重視の思想を植え付ける結果となった。 昭和９年（１９３４）９月、川崎航空機は陸軍の要請を受け高性能の戦闘機の開発に着手した。 設計主務者は後年飛燕を設計した土井武夫である。 初飛行は翌年３月、エンジンは液冷式の川崎 ハ-９-Ⅱaで２翔の固定ピッチプロペラを駆動した。 競争相手の低翼単葉型の中島キ－１１には速度ではわずかに劣っていたが、運動性能がだんぜん勝っていたので九五式戦闘機一型として正式採用となった。 昭和１０年１２月から１２年１０月の間に300機が生産され、その間飛行安定性を改善するため、主翼ならびに胴体を延長したタイプが作られ、二型として昭和１２年６月から生産された。 生産のかたわらエンジンをより強力な川崎ハ-９-Ⅱb（950馬力）に換装し、エンジンカウリングの形状の変更、主脚に流線形のカバーを追加するなどの改良をほどこしたタイプがキー１０改として試作され、420km／時の時速を記録し、中島のキー２７にほとんど劣らないことを示したが、時は低翼単葉機の時代であるとして採用にはならなかった。 キー１０は主に中国方面で支那事変、ノモンハン事変などで活躍したが、太平洋戦争が始まるころには第一線から退き、訓練など後方任務についていた。 連合軍はキー１０がまだ前線に配置されていると思っていたので本機にペリーというコードネームを与えた。