日本陸軍の戦闘機としては初めて低翼単葉で閉鎖式のコクピットを採用した九七式戦闘機(キ-27)は1937年から1940年まで作られ、当時もっとも数多く作られた飛行機であった。 もともとは中島が自主開発として設計をスタートさせていたものであるが、1935年に陸軍から出された要求仕様に基づいて改良した。 川崎のキ-28、三菱のキ-18との競合になった。 キ-27は速度の点では決して速いほうではなかったが、運動性の面では当時はもちろん歴史上最高といえるほどであった。 その秘密は極端に低い翼面荷重にあり、それは欧米の標準の半分という低さであった。 反面軽くするために機体構造が弱く、7.7mm機関銃2挺だけという貧弱な武装であった。 川崎のキ-28は当時としては驚異的ともいえる時速490kmを出していたのであるが、日本のパイロットは他のなにを犠牲にしても運動性を尊重したのである。 戦後、生き残りの陸軍戦闘機パイロットにインタビューした結果ではもっとも好ましい戦闘機は後で開発された新型機ではなく、本機であったという話も残っている。 キ-27の生産は1937年に始められ、直ちに満州方面に送られた。 ノモンハン事変で実戦にデビューしソ連製のI-15を圧倒したが、ソ連が高速のI-16を投入して高空からの一撃離脱戦法をとるようになってしばしば苦杯を喫するようになった。 太平洋戦争勃発時には他のどの戦闘機よりも数が多く、最初の一年間は中国、フィリッピン、マレー、ビルマなどほとんどの前線で使われた。
形式: 単座戦闘機 エンジン:中島ハ-1b空冷 640馬力 武装:7.7mm 機関銃2挺 最大速度: 470km/時(高度3,500m) 巡航速度 350km/時 上昇時間: 5分22秒(5,000mまで) 上昇限度: 12,250m 航続距離:1,710km 自重: 1,110kg 全備重量:1,790kg 全幅:11.31m 全長:7.53m 生産台数:3,499
Elke C. Weal “Combat Aircraft of World War Two”, Arms and Armour Press, London 1977
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MACH 1 (l’encycropedie de l’aviation) Vol.7 Editions Atlas