ヨーロッパで第二次大戦が始まった当初から日本陸軍はヨーロッパのような液冷エンジン搭載の重戦闘機の必要性を検討しはじめていた。　川崎航空機工業はすでにドイツのダイムラー．ベンツの液冷エンジンのライセンス生産契約を取得し、何台かのDB601Aエンジンのサンプルを入手していたのでこれを載せた重戦闘機の開発を始めた。　１９４０年２月、キ-60の型式名で陸軍と開発契約が結ばれた。　キ―６０は格闘性能より速度と上昇力に重点をおき、従来の日本戦闘機の常識を打ち破るものであった。　武装は２門のマウザー20mm機関砲と２挺の12.7mm機関銃という重武装であった。　１９４１年３月に初飛行したが、テスト結果はその高い翼面荷重のために離着陸速度が高く不評であった。　　第二号機は主翼面積を増やし翼面荷重を下げたがあまり改善が見られなかった。　また最大速度も600km／時出るはずであったが、実際には566km／時しか出なかった。　この不満足な結果とパイロット達の運動性重視の軽戦指向、さらに陸軍そのものも重戦闘機に対する確固たる見通しを持っていなかったことにより計画は中止され、同じに進行していた軽戦タイプのキ―６１（飛燕）に注力することになった。