川崎 三式戦闘機II型(キー61ーII改) 飛燕

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モデルは ファインモールド製 1/72

日本で唯一の液冷式エンジン装備の戦闘機である飛燕I型の大量生産が始められたのは1942年末であったが、そのころからすでにより強力なエンジンを搭載した改良型キー61II型の生産が計画されていた。 川崎航空機が開発した強力エンジンハ-140(1,500馬力)を搭載するもので、パイロットの視界を改良するためにバブル型の風防を採用し、主翼も大きくされていた。 第一号機は1943年8月に完成したが1944年1月までに8機しか完成しなかった。 エンジントラブルと新しくした機体の強度に問題が続いたのが原因である。 結局機体設計のやり直しになりキー61II改となった。 この型の第一号機の完成は1944年4月ですぐその後量産体制に入った。 武装は20mm機関砲2門と12.7mm機関銃2挺であった。 しかし新しく採用したハ-140エンジンが技術的に未完成であり問題続出で生産が進まず、本エンジンを搭載したキー61II改は翌1945年春までに99機が生産できただけであった。 しかも川崎の飛行機工場はB-29による爆撃で生産したキー61II改の1/3は破壊されてしまった。 残った機体はただちに本土防衛の任務に就いた。 B29の飛行高度である10,000mで編隊が組めるのは陸軍では飛燕のみであったからである。 エンジンが快調に動いているときは上昇力、運動性が良く高性能な戦闘機であった。  空冷エンジンに換装した機体がキー100(5式戦闘機)としてデビューし、その高性能が喜ばれたところから見ても機体設計では世界の一流品であったといえるだろう。  

 
性能諸元(キ-61II改)

形式: 単座戦闘機   エンジン:川崎ハ140 液冷1,500馬力   最大速度:592km/時(高度 4,860m)   巡航速度 400km/時   航続距離:1,800km(落下タンクつき)   上昇時間:7分(5,000mまで)    上昇限度:10,000m   自重:2,630kg   全備重量:3,470kg   全幅:12.0m   全長:8.94m   武装:20mm機関砲2門、12.7mm 機関銃2挺   生産台数:3,078(各型合計)

参考文献

辻 俊彦「零戦ーアメリカ人はどう見たか」芸立出版
Elke C. Weal “Combat Aircraft of World War Two”, Arms and Armour Press, London 1977
William Green “War Plane of The Second World War Vol.3” Doubleday & Company, 1960
Enzo Angelucci & Paolo Matricardi “World War 2 Airplanes”, Rand McNally, Chicago 1978
Bill Gunston “Fighting Aircraft of World War 2”, Prentice Hall Press 1988
Bernard Fitzsimons ed. “The Illustrated Encyclopedia of 20th Century-Weapons and Warfare Vol.15”
Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998
Rene J Francillon “Japanese Aircraft of the Pacific War” Putnam Aeronautical Books 1988
RAF Flying Review
Rene J. Francillon “Japanese Aircraft of the Pacific War” Naval Institute Press