１９３７年４月６日、神風号と名づけられた１機の優雅なスタイルの飛行機が立川飛行場を離陸した。　行く先はイギリスのロンドン。　神風号はなんの故障もなく約16,000kmを飛び、４月９日にロンドンに到着した。　正味の飛行時間は51時間17分23秒、平均時速は160km。　この歴史的飛行は日本の航空技術を世界に知らしめることとなった。　 　アメリカから輸入したノースロップ．ガンマに触発されて三菱が応力外皮を採用した全金属製の近代的航空機の開発を企て、朝日新聞社の後援を受け設計したものがこの神風号と呼ばれた複座低翼単葉機である。　試作機の別の１機は朝日新聞の郵便物輸送に使われた。　１９３７年には陸軍から注文を受け、437機がキ－１５として生産に入った。　これらはすぐに配備され、日本陸軍初の近代的航空機としておりから勃発したシナ事変に投入された。　キー１５はその高性能でパイロットから大好評を博し、爆撃、地上軍支援、偵察と広範囲に使われた。　当時中国空軍が持っていたイギリス製のグロスター．グラヂエタ－戦闘機やソ連製のイ－１５では捕捉困難であった。　キ－１５は１９４２年まで前線にあったが、その後徐々にキ－３０に置き換えられた。　海軍はキ－１５の高性能と長い航続距離に目をつけ１９３９年、エンジンを三菱水星12に換装したものをC5Mとして50機購入した。　開戦まもなくマレー沖海戦でイギリスの戦艦プリンスオブウェールスとレパルスを発見するという殊勲を立てたのはこのC5Mである。　連合軍のコードネームはバブスである。