１９３７年５月、日本陸軍航空本部は新しい複座の地上直接協同機の仕様を出した。　それは単発で最前線の整備されてない飛行場からでも発着でき、低速運動性がよく、下方視界が良好なことというものであった。　立川飛行機と三菱重工業から設計案が提出されたが、立川のものが採用された。　低翼単葉ながら主翼前縁が後退角をもっているため下方視界がよく、また胴体中央部に設けられた窓が後部偵察員の下方視界を助けた。　日立 Ha-13空冷９気筒エンジン（450馬力）を装備した第一号機は１９３８年９月に初飛行した。　武装はエンジンカウリング中の7.7mm８９式機関銃２挺に同口径の旋回式機関銃１挺が後部座席に設けられた。さらに12kg爆弾を１０個主翼の下に吊り下げることができた。　テストの結果、性能は良好と認められ、９８式直接協同機として正式採用となり、立川と川崎航空の２社で生産が始まった。　最初は中国戦線に配備され、取り扱いのよさと整備されてない飛行場からでも離着陸できる便利さで好評を博したが、太平洋戦争に突入してからは連合軍の戦闘機の好餌となり、大損害をこうむったので１９４３年からは中国戦線のみで使われるようになった。　操縦性のよさが買われ、練習機型が作られた。　それがキー５５である。　　 連合軍のコードネームは“アイダ”である。