１９３７年、陸軍航空本部は複座地上軍協同機の仕様を出した。　単発の高速機で整地されてない前線の基地から発着でき、とくに下方視界の良好なことが要求された。　三菱重工と立川飛行機の２社が設計案を提出したが、立川が選択されキ―３６として採用された。　遠藤技師は下方視界が要求されていたにもかかわらずあえて低翼単葉機を採用した。　操縦性は主翼の真上に位置し、下方視界を改善するために主翼前縁に後退角を持たせ、偵察員席の真下に大きな窓を設けた。　日立Ha-13 ９気筒空冷エンジン（４５０馬力）を搭載し、２翔の木製プロペラを駆動した試作機は１９３８年４月に初飛行した。　テスト飛行では良好な特性を示し９８式直接協同機として正式発注を受けたのである。　生産は１９３８年に始まり、ただちに第二次シナ事変の前線に送られた。　キー３６は短い離着陸距離で前線の指揮官から重宝がられ大活躍した。　しかし太平洋戦争が勃発すると連合軍の戦闘機の前に大損害を蒙り、１９４３年からは敵戦闘機の少ない中国戦線で使われるようになった。　また少数機はタイ国に送られている。 　操縦のしやすさを買われてキー３６の練習機型が作られた。　キ―５５と名づけられ９９式高等練習機として広く使われ、陸軍の単発機のパイロットはキー５５による単独飛行を終了した後に正式にパイロットとしての認可を受けることとなった。