立川 キー74 

画像をクリックして拡大

モデルは A&V MODELS製 1/72
レジンキット

立川キ-74は計画が立案されたのは1939年の初頭であったが終戦に至るまで大量生産に移されることはなかった。 その6年間の間に当初の用途の長距離偵察機から超高空爆撃機に目標が変更された。 1939年春、木村博士の指導のもとに陸軍航空本部から出された仕様に呼応して設計が始められた。 陸軍の仕様は満州の基地から飛び立ってバイカル湖までを偵察できる長距離偵察機で航続距離は5,000km、巡航速度は450km/時の要求であった。 この要求を満たすために2,400馬力の三菱 Ha-214M空冷エンジンを2基使用し6翔プロペラを駆動、与圧式キャビンを備える計画がだされたがキ-77などで検討されていた与圧式キャビンが進まないため本機の計画は一時中断された。 1941年後半になり、米国本土を爆撃できる高高度偵察兼爆撃機の計画が持ち上がり、立川は爆弾搭載装置、セルフシーリング燃料タンク、装甲などを追加、エンジンは当初計画の三菱 Ha-214Mに代えて2,200馬力の三菱Ha-211-Iを搭載することになった。 本機の設計は航空本部の承認するところとなり試作機の製作が命令された。 第一号機は1944年3月に完成したが搭載エンジンのトラブルが絶えず、馬力は低いが信頼性の高い三菱Ha-104エンジンに換えられた。 Ha-104エンジン搭載機は13機作られたがテスト中に終戦となった。 5人の搭乗員はすべて機体全部の与圧式キャビンに収容し、尾部にはリモコン式の12.7mm機関銃を備え爆弾は1,000kgを搭載できた。 計画ではB-29の基地であるサイパン島を爆撃することになっていた。 詩作号機はドイツまで直行するよう改造されたが実現する前にドイツが降伏してしまった。 連合軍は本機の存在を知ったとき、高高度長距離戦闘機と思ったので戦闘機のコードネームである男性の名前の“パット”のコードネームを与えたが、後に本当の用途が判明し“パテイ”という名前に変えられた。

 
性能諸元(キ-74)

形式: 高高度長距離偵察兼爆撃機   エンジン:三菱Ha-104ル空冷18気筒1,750馬力2基   最大速度: 570km/時(高度 8,500m)   巡航速度 400km/時   航続距離:8,000km   上昇時間:17分(8,000mまで)   上昇限度:12,000m   自重:10,200kg   全備重量:14,200kg   全幅:27.00m   全長:17.65m   武装:12.7mm 旋回式機関銃1挺、爆弾1,000kg   生産台数:14

参考文献

Bernard Fitzsimons ed. “The Illustrated Encyclopedia of 20th Century-Weapons and Warfare Vol.15”
Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998
Rene J Francillon “Japanese Aircraft of the Pacific War” Putnam Aeronautical Books 1988