1943年終わりころ日本海軍は初めて夜間戦闘機の仕様を発表した。 それは高度9,000mで最高速度682km/時、5時間の滞空時間、高度6,000mまでの上昇時間8分というものであった。 さらにレーダーを備え武装は30mm機関砲2門であった。 この要求に対し愛知社は18試夜間戦闘機として開発に着手しさまざまな新機軸を盛り込んだ。 両側の補助翼を同時に垂れさがるようにして着陸用フラップの追加になるようにしたり、敵爆撃機の後方から接近したとき勢い余って追い越しそうになった時のためにエアブレーキを装着した。 レーダーは機首につけられ、2門の99式2型20mm機関砲が機首下部に、2門の20mm機関砲は胴体後部の旋回式銃座に取り付けられた。 乗員は2名、パイロットとレーダー兼銃手である。
愛知の設計陣にとって最大の問題は海軍が中島の誉エンジンの搭載に固執したことであった。 誉エンジンは高空で十分な馬力が出なかったのである。 2段冷却ファンつき中島 NK9K-s誉エンジンを装備した場合最高速度は626km/時と見つもられていたが、相次ぐ改造のため重量が増加しそれにともなう性能低下によって586km/時に変更された。 ターボチャージつき誉24sエンジンの搭載により最高速度は675km/時に達する見込みであった。 しかし70%完成していた試作機第一号が空襲により破壊され2号機も90%まで終わったところで同じ運命に逢い、終戦までに1機も完成しなかった。
形式: 双発夜間戦闘機 エンジン: 中島NK9K-S誉22空冷18気筒2,000馬力 最大速度: 586km/時(高度 8,000m) 巡航速度 442km/時 航続距離: 1,686km 上昇時間: 14分45秒(9,000mまで) 上昇限度: 12,000m 自重: 7,320kg 全備重量:11,510kg 全幅: 17.50m 全長:15.10m 武装:30mm 機関砲2門、旋回式20mm機関砲2門 生産台数:
航空情報編 「日本軍用機の全貌」
William Green “War Plane of The Second World War Vol.3” Doubleday & Company, 1960
Bernard Fitzsimons ed. “The Illustrated Encyclopedia of 20th Century-Weapons and Warfare Vol.7”
Rene J Francillon “Japanese Aircraft of the Pacific War” Putnam Aeronautical Books 1988