昭和11年(1936)、海軍より愛知、川西両社に対して九六式水上偵察機に代わる新型機の試作指示があった。 愛知はこれに対してオーソドックスな複葉構造を採用したが、川西のは思いきって斬新なスタイルであった。 ガル翼単葉で補助フロートは翼端に折りたためるようになっていた。 昭和12年(1937)に初飛行し、十一試特殊水上偵察機として海軍に納入された。 エンジンの冷却器の取り付け位置に苦労し、結局エンジンと尾翼の中間の胴体につけるという珍しい構造となった。 愛知E11A1との比較テストでは水上、飛行中とも安定性に問題があり、操縦性も悪かった。 また引っ込み方式の補助フロートの故障が多く、夜間偵察機としては不適と判断され、愛知のE11A1が採用となった。 試作された2機はのちに九六式輸送機として連絡、輸送に使われた。
形式: 小型偵察飛行艇 エンジン:愛知九一式22型水冷12気筒 620馬力 武装:7.7mm 旋回式機関銃1挺 最大速度:217km/時(高度2,400m) 巡航速度 130km/時 上昇時間:18分32秒(3,000mまで) 上昇限度:4,426m 航続距離:1,945km 自重:1,927kg 全備重量:3,300kg 全幅:14.4m 全長:10.71m 生産台数: 17
Elke C. Weal “Combat Aircraft of World War Two”, Arms and Armour Press, London 1977
William Green “War Plane of The Second World War Vol.5” Doubleday & Company, 1960
航空情報編 「日本軍用機の全貌」
Robert C. Mikesh “Japanese Aircraft 1910-1941” Putnam Aeronautical Books 1990