１９３７年、日本の二つの商事会社三井物産と極東貿易社がアメリカのダグラス社が生んだ名機DC-3に目を付け購入契約を結んだ。　その結果１９３９年までに１３機が購入され、主に大日本航空会社で太平洋戦争の終わりまで使われた。 　１９３８年２月には三井物産を通じて生産ライセンスをダグラス社から取得し、日本海軍は昭和飛行機会社にこれを組み立てることを命じ、中島飛行機会社にも協力するよう指示した。　昭和飛行機試作の２機は１９３９年１０月と１９４０年４月に完成した。　一方昭和飛行機の設計チームと中島飛行機は共同で三菱金星43空冷式エンジンを搭載するほか、日本の事情に合わせた改造を盛り込んで１９４２年までに中島飛行機で７１機が作られた。　その後は零式輸送機１１型(L2D2)という型式名が与えられ、昭和飛行機が全面的に製造を担当することになった。 　昭和飛行機での製造が軌道にのると後部の貨物用ドアを大きくし、貨物室の床の強度を強化した改造型、さらには防御用として12.7mmあるいは7.7mm機関銃を装備したものまで現れた。　また貴重なアルミ合金材料を節約するために可能な限り木製構造を取り入れる努力もはらわれた。　連合国からつけられたニックネームはタビーである。 　L2D2は日本海軍の主力輸送機としてあらゆる前線で使われたが、見かけはアメリカのDC-3にそっくりであったのでしばしば敵機と間違えられたための悲劇もしばしばあったという。