1935年、ポーランド空軍は迎撃戦闘機としても使え地上攻撃機としても使える双発の小型機の開発を計画した。 すぐにこの両方に使えるようにするのは無理があることが分かり、P.38の型式名で地上攻撃機を開発することになった。 1936年のポーランド空軍の拡張計画ではP.38を各10機からなる10個の地上攻撃飛行中隊を作る予定であった。 1936年始め、機体の基本設計が終わり、2機の試作機の製作が認可された。 P.38は600馬力のエンジンを2基搭載し計画最高速度は520km/時、武装は20mm機関砲2門、7.7mm機関銃2挺、7.7mm旋回式機関銃1挺に爆弾300kg搭載予定であった。 問題はこの小さい機体に収めることのできるエンジンであった。 当初国産の600馬力の空冷8気筒のフォカエンジンが選択されたが、技術的問題でこのエンジンの生産の見込みが立たなかった。 代わりのエンジンを模索して開発が遅れ、450馬力のレンジャーSGV-770B 空冷12気筒エンジンを搭載した試作第一号機が初飛行したのは1938年5月のことであった。 その年のパリ航空展覧会に出品されたP.38は大変な評判をとった。 しかしポーランド空軍はすでに改良型のP.48に関心が移っていた。 P.48はより強力なエンジン、強力な武装を持ったものであったが、急を告げる国際情勢にもかかわらず開発のテンポは鈍かった。 この画期的な地上攻撃機は完成しておれば1939年9月のドイツ軍侵攻時にはおおいに働いたと思われるがついに間に合わなかったのである。
形式: 双発地上攻撃機 エンジン:フォカ空冷8気筒600馬力2基 最大速度:465km/時(高度 4,000m) 巡航速度 400km/時 航続距離:1,250km 上昇限度:10,000m 自重:1,715kg 全備重量:2,770kg 全幅:11.05m 全長:8.35m 武装:20mm機関砲2門、7.7mm機関銃2挺、7.7mm 旋回式機関銃1挺、爆弾300kg 生産台数: 1
Jerzy B. Cynk “Polish Aircraft 1839-1939” Putnam, London, 1971 Andrzej Glass “ PWS 33 Wyzel”