マーチン社は１９３０年代始め、時代の水準をはるかに超えた画期的な爆撃機の開発をスタートした。　社内ではモデル１２３として設計された機体は流線型の胴体を持った中翼単葉で、尾輪も含めて引っ込み式脚、可変ピッチプロペラを採用、乗員は３名で600馬力のライト SR-1820-Eサイクロンエンジン２基を備えていた。　マーチン社は自費で試作機を作りアメリカ陸軍に提出した。　１９３２年に始まった公式テストでは最高速度は317km／時を記録し、当時のアメリカ陸軍の戦闘機より速いことを証明した。　１９３３年１月、陸軍よりＢ－１０の名称を与えられ正式発注を受けた。　第一線への配備は１９３４年に始まり、１９３０年代の終わりまで就役した。　主に爆撃機型が主であったが、一部はフロートをつけた水上機として沿岸哨戒にも使われた。　１９３６年に入って外国への輸出の許可が与えられ、アルゼンチンに３５機、中国に９機、オランダに１１８機、タイに２３機、トルコに２０機が輸出されている。　オランダ空軍に配属されたＢ－１０は日本軍の攻撃に対して絶望的な戦いを続けた。　そのうちの１機はジャワ陥落時に１４人のオランダ将校を乗せてインドネシアのバンドンからオーストラリアにたどりつき、アメリカ軍に接収された。　またオランダ軍にあったＢ－１０の何機かは日本軍に捕獲されタイ空軍に供与された。　アルゼンチンに売られたうちの１機が残存する唯一の機体でオハイオ州の空軍航空博物館に展示されている。