ノースロップから購入したガンマ爆撃機が昭和8年、日本に到着したとき、海軍の航空廠の責任者の前原少将がそれを見てかたわらにならんでいる国産機と比べてあまりの技術力の差に「こりゃ、いかんわい」とつぶやいてしばらくその場を離れなかったというほどガンマは当時のアメリカの航空技術の粋をつくした傑作機であった。 事実技術者たちの受けたショックは後年B-29を見たときよりも大きかったという。
1932年1月、ダグラスの一系列会社としてノースロップ.コーポレーションが設立された。 新会社の当面の目標はガンマとデルタと名づけられた2種類の航空機を開発することであった。 デルタは旅客機として計画されていたのに対し、ガンマは郵便物輸送などの特殊用途用であった。 ガンマの最初の機体ガンマAは流線型の胴体で操縦席はずっと後ろのほうにあり、胴体全部は貨物室となっていた。 これはテキサコに買い取られ、数々のスピード記録を樹立した。 2号機はポーラースターと名づけられ南極大陸横断飛行をして有名になった。 ガンマ2Eはこれの発展形で複座の軽爆撃機としたもので1934年に24機が中国に売られ、日本軍と戦った。 これらはエンジンはライト SR-1820-F3(710馬力)で2翔のプロペラを駆動した。 武装は7.7mm機関銃4挺に爆弾726kgを吊り下げることができた。
このガンマ2Eはその後の傑作機A-17に至るシリーズの基礎となった。
形式: 複座軽爆撃機 エンジン:ライト SR-1820-F3 空冷 710馬力 武装:7.7mm機関銃4挺、7.7mm 旋回式機関銃1挺、爆弾 726kg 最大速度:367km/時(高度3,505m) 海面上昇率:358m/分 上昇限度:8,930m 航続距離:800km 自重:1,746kg 全備重量:3,447kg 全幅:14.63m 全長:9.07m 生産台数: 61
Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998
Rene Francillon “McDonnell Douglas Aircraft since 1920” Putnam Aeronautical Books 1979
岡村純他「航空技術の全貌」原書房