ノースアメリカン P-51B ムスタング 

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モデルは AIRFIX製 1/72

 ヨーロッパで第二次世界大戦が始まって半年、ドイツの攻勢に苦慮するイギリスは1940年4月、アメリカに購買使節団を送り、ノースアメリカン社にカーチス.ホーク戦闘機の生産を依頼した。 これに対してノースアメリカン社のキンデルバーガ社長は120日でもっと性能のよいまったく新しい戦闘機を作ってみせると約束をした。 これが歴史上プロペラ式戦闘機としてはもっとも成功したといわれるP-51ムスタング戦闘機誕生のきっかけであった。 試作機は約束どおり117日で完成したが、搭載するアリソンエンジンの納入が遅れ、初飛行したのはその年の10月26日であった。 その時にはイギリスはすでに320機を発注済みであった。 アメリカ政府は2機を評価用にアメリカ陸軍に引き渡すことを条件に承認した。 テスト飛行はさしたるトラブルもなく順調に進み、最初の量産型機は翌年の5月に飛行し、11月からイギリスに引き渡されはじめた。 ムスタングと命名された本機はイギリス空軍の評価は従来のアメリカ戦闘機よりはるかに高性能であるが、搭載するアリソンエンジンの能力で高空性能が悪くて通常の戦闘機としての任務には不適であるが、低空での高速と運動性がすばらしく写真偵察機として最適であると評価された。
ムスタングがイギリスの到着してすぐエンジンをロールスロイス.マーリンエンジンに乗せ換えることが検討され、6週間後マーリンエンジン搭載のムスタングが初飛行した。 すばらしい性能向上はただちにノースアメリカン社に連絡され、ただちに改造計画がはじまった。 新型機はXP-51Bとして1942年9月に初飛行して最高時速706kmを記録し、アメリカ陸軍もすぐに2,200機を発注した。 1943年夏にはP-51Bはフル生産に入っており、ロサンゼルス工場だけでなくテキサスの工場でも生産された。 エンジンはアメリカのパッカード社がライセンス生産を始めたロールスロイス.マーリン V-1650で離床出力1,450馬力、武装は12.7mmブローニング機関銃4挺が標準であった。、P-51Bがイギリスに駐屯するアメリカ第八空軍に最初に送られたのは1943年12月で2週間後のドイツのキールまで往復約800kmの爆撃行援護の任務を遂行している。 

 
性能諸元(P-51B)

形式: 単座戦闘機   エンジン:パッカード.マーリン V-1650-3 液冷1,400馬力   最大速度:708km/時(高度 9,144m)  巡航速度 582km/時   航続距離:3,540km   上昇時間:1分48秒(3,068mまで)   上昇限度:12,800m   自重:3,103kg   全備重量:5,080kg   全幅:11.89m   全長:9.83m   武装:12.7mm機関銃4挺、 爆弾907kg   生産台数: 15,469(各型合計)

参考文献

Elke C. Weal “Combat Aircraft of World War Two”, Arms and Armour Press, London 1977
William Green “War Plane of The Second World War Vol.4” Doubleday & Company, 1960
Enzo Angelucci & Paolo Matricardi “World War 2 Airplanes”, Rand McNally, Chicago 1978
Bill Gunston “Fighting Aircraft of World War 2”, Prentice Hall Press 1988
Bernard Fitzsimons ed. “The Illustrated Encyclopedia of 20th Century-Weapons and Warfare Vol.7”
Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998
F.G. Swanborough “United States Military Aircraft since 1909” Putnam 1963