ヨーロッパで第二次世界大戦が始まって半年、ドイツの攻勢に苦慮するイギリスは1940年4月、アメリカに購買使節団を送り、ノースアメリカン社にカーチス.ホーク戦闘機の生産を依頼した。 これに対してノースアメリカン社のキンデルバーガ社長が提案した自社独自の設計になる戦闘機が歴史上プロペラ式戦闘機としてはもっとも成功したといわれるP-51ムスタング戦闘機誕生のきっかけであった。 ただイギリスでムスタングと命名された本機はイギリス空軍の評価は、従来のアメリカ戦闘機よりはるかに高性能であるが、搭載するアリソンエンジンの能力で高空性能が悪くて通常の戦闘機としての任務には不適であるが、低空での高速と運動性がすばらしく写真偵察機として最適であると評価された。 ムスタングがイギリスに到着してすぐエンジンをロールスロイス.マーリンエンジンに乗せ換えることが検討され、6週間後マーリンエンジン搭載のムスタングが初飛行した。 すばらしい性能向上はただちにノースアメリカン社に連絡され、ただちに改造計画がはじまった。 新型機はXP-51Bとして1942年9月に初飛行して最高時速706kmを記録し、アメリカ陸軍もすぐに型式をP-51Dとして2,200機を発注した。 エンジンはアメリカのパッカード社がライセンス生産を始めたロールスロイス.マーリン V-1650で離昇出力1,450馬力、武装も強化され12.7mmブローニング機関銃6挺が標準となった。
イギリスから指摘されたP-51Bの唯一ともいわれる欠点の後方視界が悪い点もこのD型からバブル型風防に替えられ、1943年ころから生産の主力となった。
P-51D型は高度6,000mではドイツのすべてのピストンエンジン装備の戦闘機の性能を大幅に上回り連合軍戦闘機隊の中核として活躍した。
形式: 単座長距離戦闘機 エンジン:パッカード.マーリン V-1650-7 液冷1,510馬力 最大速度:703km/時(高度 7,620m) 巡航速度 582km/時 航続距離:3,700km 上昇時間:1分48秒(3,068mまで) 上昇限度:12,771m 自重:3,232kg 全備重量:5,262kg 全幅:11.89m 全長:9.85m 武装:12.7mm機関銃6挺、 爆弾907kg 生産台数: 15,469(各型合計)
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