ダグラス P-70 

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モデルは MATCHBOX製 1/72

1940年、イギリス空軍は夜間に侵入してくるドイツ爆撃機に対抗するため当時の大きくて重いレーダーを搭載できる夜間戦闘機の必要性を痛感していた。 おりしもフランスが降伏前に発注していたダグラスDB-7双発爆撃機がイギリスに到着しボストンの名前を与えられて配備され始めていた。 これを改造したところまずまずの性能を出したのでハヴォックという名前で夜間戦闘機として使うことにしたのである。 エンジンはプラットアンドホイットニーR-1820-S3C4Gツインワスプ空冷1,200馬力で翌年春までに100機以上が完成した。 搭乗員に対して防弾板が施され、エンジン排気管の炎が見えないように細工された。 武装は当初は機首下部に7.7mm機関銃4挺と胴体後部の7.7mm旋回式機関銃であった。 また夜間爆撃用として約1トンの爆弾を積むことができた。 夜間戦闘機専用型としては4挺の7.7mm機関銃が追加されイギリス製のA.I MkVIレーダーが搭載された。  変わった改造型としては強力なサーチライトを搭載し夜間に侵入してくるドイツ爆撃機を照射して味方迎撃戦闘機の照準を助けるというものもあった。 しかしこれは逆に味方戦闘機パイロットの目を眩ましてしまうほうが多かったようである。 イギリス空軍はさらにフランス向けに予定されていた強力な1,600馬力のライトR-2600-A5Bエンジンを搭載した100機のDB-7を受け継ぎハヴォックIIとした。 これは12挺の機関銃を備えるものであった。  アメリカはこのダグラス双発爆撃機をA-20の型式で採用していたが、イギリスにならって60機ばかりをP-70として夜間戦闘機に改造した。 これらは1942年9月から配備され始め当時開発途上にあった本格的夜間戦闘機ノースロップP-61が登場するまでのレーダー射撃訓練用として使用されたのである。 太平洋戦線では日本軍相手に若干使用されたが1944年にはすべてP-61に置き換えられた。  

 
性能諸元(P-70)

形式: 双発夜間戦闘機   エンジン:プラットアンドホイットニー ツインワスプ R-1830-S3C4G 空冷 1,200馬力2基   武装:7.7mm 固定式機関銃8挺または20mm機関砲4門、 7.7mm 旋回式機関銃1挺   最大速度:526km/時(高度4,123m)  巡航速度:432km/時   上昇限度:7,864m   航続距離:1,594km   自重:5,176kg   全備重量:8,644kg   全幅:18.69m   全長:14.30m   生産台数:491

参考文献

Elke C. Weal “Combat Aircraft of World War Two”, Arms and Armour Press, London 1977
Ed.: David Donald “Encyclopedia of World Aircraft” Prospero Books 1999
Enzo Angelucci & Paolo Matricardi “World War 2 Airplanes”, Rand McNally, Chicago 1978
F.G. Swanborough “United States Military Aircraft since 1909” Putnam 1963
Rene Francillon “McDonnell Douglas Aircraft since 1920” Putnam Aeronautical Books 1979