1939年末にアメリカ陸軍が行った画期的な戦闘機開発依頼(R-40C)にノースロップ、カーチスとともに応募したのがバルテイXP-54である。
エンジンは当初プラットアンドホイットニーX-1800を計画したが、このエンジンの生産停止にともない液冷のライコニング XH-2470(2,200馬力)に変更された。 陸軍の要求により、与圧キャビン、排気タービン過給器が追加され武装は当初予定の12.7mm機関銃6挺から12.7mm機関銃2挺に37mm機関砲2門に変更された。 これらの変更によりXP-54は高高度迎撃機の性格を持つにいたった。 XP-54はいくつかのユニークな構造を持っていた。 主翼中央部はN.A.C.A.が開発した”ダクト式を採用し、オイル冷却器などを完全に主翼内に収めてしまうようにした。 キャビンの風防は密着されて開かない構造になっていたため座席は電動式に上下し、乗降は下のポジションで行った。 非常の場合はキャビンごと射出されるようになっていた。 12.7mm機関銃と37mm機関砲とでは弾丸の軌道がひどく違うため機関砲の角度はパイロットが補正できるようになっていた。 このような数々の新機構のため開発は遅れ、初飛行は契約日から半年遅れの1943年1月15日であった。 31分間の飛行は問題なかったがカーチス社製のプロペラの調子が悪く、ハミルトン製に換えられた。 テストは続けられたが、エンジンに重大な問題が発生し、修理不能と判断された。 2号機は排気タービン過給器をGE製が開発中のXCM型に代えられたため遅延し1944年5月24日にようやく飛行したものの過給器の調子が悪くメーカーにさしもどされてしまった。 このころにはライコニング製エンジンの開発は停止されてしまいXP-54そのものの性能も期待はずれであったためその後の開発はストップされた。
形式: 単座高高度迎撃戦闘機 エンジン:ライコニング XH-2470-1 液冷24気筒排気タービン付き 2,300 馬力 武装:12.7mm 機関銃2挺 37mm 機関砲2門 最大速度:464km/時(海面) 610km/高度 8,687m 海面上昇率:701m/秒 上昇時間 27分42秒(9,784mまで) 上昇限度:11,277m 自重:6,929kg 全備重量:8,779kg 全幅:16.41m 全長:16.66m 生産台数: 2
William Green “War Plane of The Second World War Vol.4” Doubleday & Company, 1960
F.G. Swanborough “United States Military Aircraft since 1909” Putnam 1963
John Wegg “General Dynamics Aircraft” Putnam Aeronautical Books 1990
Chris Bishop ed.“The Complete Encyclopedia of Weapons of World War 2”, Prospero Books, 1998